セッション情報 | 口演門脈圧亢進症2 |
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タイトル | O-055:肝硬変例の低Na血症に対するトルバプタンの治療経験 |
演者 | 新井 泰央(日本医科大学消化器内科学) |
共同演者 | 楢原 義之(日本医科大学消化器内科学), 金沢 秀典(日本医科大学消化器内科学), 安良岡 高志(日本医科大学消化器内科学), 中川 愛(日本医科大学消化器内科学), 橋本 知実(日本医科大学消化器内科学), 糸川 典夫(日本医科大学消化器内科学), 枡 卓史(日本医科大学消化器内科学), 近藤 千紗(日本医科大学消化器内科学), 福田 健(日本医科大学消化器内科学), 松下 洋子(日本医科大学消化器内科学), 張本 滉智(日本医科大学消化器内科学), 城所 秀子(日本医科大学消化器内科学), 厚川 正則(日本医科大学消化器内科学), 金子 恵子(日本医科大学消化器内科学), 中塚 雄久(日本医科大学消化器内科学), 川本 智章(日本医科大学消化器内科学), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学) |
抄録 | 【目的】肝硬変例での低Na血症は主に利尿剤使用時に見られる合併症であり,治療に難渋する.最近,バソプレシンV2受容体拮抗剤であるトルバプタンは,肝硬変例の低Na血症に有効と報告されている.しかし,本邦ではトルバプタンを肝硬変例の低Na血症に投与した報告はない.そこで肝硬変例の低Na血症に対するトルバプタンの効果と安全性を検討した.【方法】対象は低Na血症(Na 130mEq/L未満)合併肝硬変患者7例.全例腹水に対して利尿剤が投与されており,これが低Na血症の原因であった.対象7例のChild-Pugh scoreは11.0点であった.トルバプタンは7.5mg/日の隔日投与より開始し,血清Na値を観察し改善が認められなければ連日投与とし,平均18.3(7-34)日間投与した.なお,既存利尿剤は継続投与とした.【結果】血清Naは投与前120.6mEq/Lから投与1日後125.1mEq/L(P=0.006),投与7日後126.9mEq/L(P=0.024),投与終了時125.7mEq/L(P=0.215)と投与初期に有意に改善した.7例中5例は低Na血症の改善(血清Naが5mEq/L以上増加)を認めた.5例中1例は投与中に低Na血症が再燃し,1例は投与中止後に再燃した.2例は低Na血症が改善するも肝不全の進行とともに再燃を認め投与中に死亡した.1例は投与中止後も再燃を認めなかった.尿量は投与前1064ml/日から投与1日後1776ml/日(P=0.063),投与7日後1551ml/日(P=0.176),投与終了時1523ml/日(P=0.237)と増加傾向を認めた.クレアチニンは投与前0.85mg/dlから投与終了時1.01mg/dlと不変であった.経過中明らかな副作用は認めなかった.【結語】肝硬変例の低Na血症において,トルバプタンは安全に投与でき,投与初期から低Na血症を改善させ有効と思われた.しかし,投与中や投与中止により低Na血症が再燃する例があり,今後の検討課題と思われた. |
索引用語 |