セッション情報 口演

門脈圧亢進症2

タイトル O-057:

肝硬変患者の難治性胸腹水におけるTolvaptanの安全性・有効性について

演者 山田 友春(三井記念病院消化器内科)
共同演者 大木 隆正(三井記念病院消化器内科), 宮林 真未奈(三井記念病院消化器内科), 唐澤 祐輝(三井記念病院消化器内科), 早田 有希(三井記念病院消化器内科), 山上 まり(三井記念病院消化器内科), 川西 幸貴(三井記念病院消化器内科), 山本 康英(三井記念病院消化器内科), 佐藤 公紀(三井記念病院消化器内科), 小島 健太郎(三井記念病院消化器内科), 有住 俊彦(三井記念病院消化器内科), 関 道治(三井記念病院消化器内科), 戸田 信夫(三井記念病院消化器内科), 田川 一海(三井記念病院消化器内科)
抄録 【目的】肝硬変(LC)患者の難治性胸腹水におけるTolvaptanの安全性および有効性について検討する.【方法】2012年10月~2013年8月の間に難治性胸腹水を呈したLC患者のべ24例を対象とした.入院の上,Tolvaptanを3.75 mg/日から15 mg/日まで胸腹水が改善するまで投与した.尿浸透圧の希釈性が不十分であり,効果の乏しい症例に関しては適宜増量し,上限は15 mg/日とした.【結果】平均年齢は64.9歳で,男性19例(79.2%)であった.B型肝炎ウイルス(HBV)によるLC例は3例,C型肝炎ウイルス(HCV)によるLC例は14例,HBV,HCV由来ではないLC例は5例,転移性肝癌による肝機能低下例は1例であった.平均投与前アルブミン値は3.0 g/dlで,フロセミドは52.1 mg/日,スピロノラクトンは46.9 mg/日投与されていた.胸水貯留例は13例,腹水貯留例は21例だった.Tolvaptanは,18例(75%)において7.5 mg/日で投与が開始された.平均投与期間は32.5日だった.投与24時間後の平均尿量は2233 ml/日で,投与24時間後の平均血中Na濃度は135.7 mEq/lだった.懸念されたNa濃度の上昇ピークは投与開始平均4.4日目で,ピーク時の平均血中Na濃度は139.0 mEq/lだった.平均体重減少量は3.0 kgで23例に有意に改善を認めた.Tolvaptanは経過中5例(20.8%)増量し,1例(4.2%)減量した.有害事象は4例に認め,頻脈,倦怠感,口渇感,咳嗽を呈したが,いずれもCTCAEでgrade1だった.【結論】Tolvaptanは難治性胸腹水に対し有効に作用した.懸念された血中Na濃度の上昇は,許容範囲内であった.今後は,投与の中止時期の検討,長期投与の安全性・有効性の確認が課題である.
索引用語