セッション情報 口演

肝臓 基礎

タイトル O-062:

ラット急性肝不全モデルにおけるHMGB1 A box遺伝子導入の効果

演者 雨宮 隆介(慶應義塾大学一般・消化器外科)
共同演者 篠田 昌宏(慶應義塾大学一般・消化器外科), 田中 真之(慶應義塾大学一般・消化器外科), 高柳 淳(慶應義塾大学分子生物), 西山 亮(慶應義塾大学一般・消化器外科), 大島 剛(慶應義塾大学一般・消化器外科), 山田 晋吾(シノテスト研究開発部), 宮庄 拓(酪農学園大学獣医学), 須田 康一(慶應義塾大学一般・消化器外科), 八木 洋(慶應義塾大学一般・消化器外科), 林田 哲(慶應義塾大学一般・消化器外科), 阿部 雄太(慶應義塾大学一般・消化器外科), 日比 泰造(慶應義塾大学一般・消化器外科), 北郷 実(慶應義塾大学一般・消化器外科), 尾原 秀明(慶應義塾大学一般・消化器外科), 竹内 裕也(慶應義塾大学一般・消化器外科), 板野 理(慶應義塾大学一般・消化器外科), 丸山 征郎(鹿児島大学血管代謝病態解析学), 田邊 稔(東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科), 北川 雄光(慶應義塾大学一般・消化器外科)
抄録 【背景】敗血症など各種病態でHMGB1が新たな炎症性メディエーターとして注目されている.同タンパクのA box部分は,HMGB1の阻害タンパクとして働くことが知られている.本研究では,ラット急性肝不全モデルにおけるHMGB1 A box遺伝子導入の効果を検討した.【方法】1)ウイルスベクターの作製:HMGB1 A box domainをencodeするアデノウイルスベクターを3種類(wild type1種とmutant2種)作成した.Hela細胞に感染させ,上清中のA boxの存在をwestern blot法にて確認した.また,同上清を培養マクロファージに添加し,rHMGB1刺激によるTNF産生を阻害するか検討した.2)肝細胞への感染:Wistar系雄性ラット初代培養肝細胞にベクター(mutant)を感染させ,培養上清中のA boxタンパクの存在を解析した.同ベクターを健常ラット門脈内に投与し,肝におけるA boxタンパクの発現を免疫染色にて確認した.3)ラット急性肝不全モデルにおける病態改善効果:ベクター(mutant)をラット門脈内に投与し,72時間後に肝炎を誘発すべくD-galactosamineを腹腔内投与,各種パラメータ,生存率を検討した.【結果】1)感染Hela細胞上清中にA boxタンパクが確認され,mutantで産生が多かった.また,同上清添加でマクロファージからのTNF-α産生が抑制された.2)ラット初代培養肝細胞上清,ラット正常肝ともベクター感染後72時間でA boxタンパクの発現が確認された.3)ラット急性肝不全モデルにおいてA boxタンパク遺伝子導入は,肝逸脱酵を改善し,生存率を延長させた.【結語】HMGB1 A boxの遺伝子導入は,ラット急性肝不全モデルの病態を改善する可能性が示唆された.
索引用語