セッション情報 口演

GERD1

タイトル O-066:

バレット食道癌における酸・アルカリ逆流の意義

演者 大前 雅実(がん研有明病院消化器内科)
共同演者 藤崎 順子(がん研有明病院消化器内科), 五十嵐 正広(がん研有明病院消化器内科)
抄録 【背景と目的】バレット食道癌はEGJの右壁に多い.酸・アルカリ逆流方向の部位と癌の部位の相関を検討しバレット食道患者のEGDに際し逆流の多い方向に注意する必要があるか否かを検討する.【対象と方法】対象はバレット食道癌19例(SSBE背景のバレット癌13例,LSBE背景のバレット癌3例)である.方法は,カテーテル先端に8方向のpHセンサーが付いたカテーテル(Shimane Univ.and Star med co.)をSCJの2cm口側に留置し,酸・アルカリの逆流合計時間を解析,最大逆流合計時間の方向を含む2ブロックと癌の位置が一致すれば逆流部位と一致と判定した.検討1は,酸およびアルカリ逆流合計時間の部位と癌の発生部位との相関,検討2は酸およびアルカリ逆流と体位の関係を検討した.【結果】検討1:酸の逆流合計時間の部位と癌の部位の一致率は13/16(81.3%),アルカリの逆流合計時間の部位と癌の部位の一致率は11/17(64.7%),酸またはアルカリ逆流合計時間と癌の部位の一致率は17/19(89.5%)であった.検討2:SSBE背景のバレット食道癌8例中,立位で酸逆流が多かったのは5/8(62.5%),LSBE背景のバレット癌3例中臥位でアルカリ逆流が多かったのは2/3(66.7%)であった.【考察】今回我々はバレット食道癌患者を対象に8方向24時間pHモニタリングを施行した.酸逆流と癌の部位との一致率11/13(84.6%),アルカリ逆流と癌の部位との一致率10/14(71.4%),酸またはアルカリ逆流と癌の部位の一致率は14/16(87.5%)で逆流方向と癌の位置がほぼ一致した.次に今回の検討ではSSBE背景のバレット癌は主に立位での酸逆流,LSBE背景のバレット癌は臥位でのアルカリ逆流が大きく関与すると考えられた.SSBE背景の癌が大部分を占める本邦では癌は右前に位置することが多い.一方今回当院で経験したLSBE背景のバレット癌3例中2例が9-10時方向を主座とし2例とも酸・アルカリ逆流の部位が左側で病変の部位と一致した.今後バレット食道患者のpHモニターによる逆流部位を参考にEGDを行い癌の早期発見に有用である可能性があると考えられる.
索引用語