セッション情報 口演

GERD2

タイトル O-069:

不眠症にプロトンポンプ阻害薬は有用か?―GERD症状を有する例と有しない例を対象とした多施設ランダム化二重盲検比較試験―

演者 相見 正史(島根大学内科学第二講座)
共同演者 駒澤 慶憲(出雲市立総合医療センター内科), 内田 靖(松江赤十字病院消化器内科), 山根 雄幸(山根病院内科), 古田 晃一朗(益田地域医療センター医師会病院内科), 濱本 直治(はまもと内科クリニック), 矢野 彰三(島根大学内科学第一講座), 小黒 浩明(島根大学内科学第三講座), 守田 美和(島根大学内科学第一講座), 直良 浩司(島根大学医学部薬剤部), 石村 典久(島根大学内科学第二講座), 石原 俊治(島根大学内科学第二講座), 木下 芳一(島根大学内科学第二講座)
抄録 【背景】胃食道逆流症(GERD)例の睡眠障害の改善にプロトンポンプ阻害薬(PPI)が有用であると報告されている.一方,逆流性食道炎患者の多くは定型的な逆流症状を有さないことが知られている.そこで,睡眠導入剤の内服を希望する原発性不眠症患者を対象にプラセボ対照の多施設ランダム化二重盲検比較試験を行い,睡眠障害例全体の中でGERD症状を有する例がどれくらい存在するか,GERD症状を有する原発性不眠症例とGERD症状を有さない例でPPIに対する反応性が異なるか否かを明らかとすることを目的として検討を行った.【対象と方法】2009年から2011年までの期間,島根大学医学部附属病院と13の関連施設において外来通院中であり,原発性不眠症のために睡眠導入剤の内服を希望する患者,または原発性不眠症のために受診した患者176例を対象とした.患者を1:1の比率で2群に割り付け,オメプラゾール20mgかプラセボを1日1回14日間投与した.4種の自己記入式アンケートを用い,投薬前後のGERD関連QOLと睡眠障害の程度を評価した.【結果】評価対象例は171例で,GERD症状を有する例は69例,有しない例は102例であった.GERD症状を有する例ではプラセボと比較してオメプラゾールが有意な睡眠障害改善作用を示したが,GERD症状を有さない例ではプラセボと比較してオメプラゾールの有効性は認められなかった.【結論】睡眠障害を有する受診患者の約40%にGERD症状を有する例が存在すること,不眠症患者のうちGERD症状を有する例のみがPPIの投薬で睡眠障害が改善することが明らかとなった.
索引用語