セッション情報 口演

GERD2

タイトル O-072:

バレット上皮出現に関連する因子の性差

演者 笠島 冴子(東京女子医科大学附属青山病院消化器内科)
共同演者 中村 友里(東京女子医科大学附属青山病院消化器内科), 石橋 あゆみ(東京女子医科大学附属青山病院消化器内科), 竹内 英津子(東京女子医科大学附属青山病院消化器内科), 藤田 美貴子(東京女子医科大学附属青山病院消化器内科), 三坂 亮一(東京女子医科大学附属成人医学センター), 長原 光(東京女子医科大学附属青山病院消化器内科)
抄録 【目的】バレット上皮(BE)は,胃食道逆流(GERD)を背景とする慢性的な炎症から生じ,食道腺癌の母地と考えられる.BEが,正常群(C群)→GERD群→BE群へと変化するに従って生じてくると仮定して,この3群間で段階的に変化する因子を男女別に解析した.【対象と方法】2008年の当院健診者926名のうち,PPIとH2ブロッカー服用者を除く644名を対象とした.C群,GERD群,組織学的にBEと診断された群の3群にわけて,身体所見,生化学データを一元配置分散分析で解析した.【結果】1)各群の男女の内訳は,C群,283名:203名,GERD群,65名:32名,BE群,53名:8名であった.2)男性では3群間で有意差を認めたのは総蛋白のみであったが,C→GERD→BEと段階的に変化する因子は見出せなかった(血清総蛋白,C群7.18±0.44,GERD群7.24±0.45,BE7.04±0.41,p<0.05).3)女性では3群間で有意差を認めたのは,年齢(C群61.1±12.0,GERD群65.0±11.0,BE群70.6±9.7,p<0.05),ピロリ菌(HP)感染の有無(C群感染有り84人,なし66人,GERD群有り7人,なし16人,BE群有り3人,なし5人,p<0.05),メタボリック症候群(MS)の合併率(C群3.6%,GERD群14.8%,BE群14.3%,p<0.05),γGTP値(C群24.6±22.0,GERD群38.0±35.9,BE25.0±13.0,p<0.05),空腹時血糖(FBS)(C群99.1±13.8,GERD群104.6±18.1,BE群113.5±35.7,p<0.01)であった.【結論】男性では3群間で段階的に変化する因子は見当たらないものの,女性では年齢,FBSが有意に変化した.なおHP感染の有無,MS合併の有無に関しては,GERD及びBE群では変化はないが3群間では有意差を示した.
索引用語