セッション情報 | 口演GERD3,その他 |
---|---|
タイトル | O-075:食道アカラシア患者の食道粘膜ではmicroRNA130a発現が亢進している |
演者 | 庄司 寛之(長崎大学消化器内科) |
共同演者 | 磯本 一(長崎大学消化器内科), 吉田 亮(長崎大学消化器内科), 南 ひとみ(長崎大学消化器内科), 神田 努(長崎大学消化器内科), 卜部 繁俊(長崎大学消化器内科), 松島 加代子(長崎大学消化器内科), 竹島 史直(長崎大学消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学消化器内科), 井上 晴洋(昭和大学横浜北部病院消化器病センター) |
抄録 | 【目的】食道アカラシアはlower esophageal sphincter(LES)の弛緩不全により食道運動異常をきたす疾患であり,食道癌のリスクの1つに挙げられる.近年,内視鏡的筋層切開術(POEM)が低侵襲で根治性の高い治療法として確立された.一方で病態は未だに不明な点が多く,食道発癌に至る過程の解明が望まれる.今回我々は食道アカラシア患者の食道粘膜に特異的なmicroRNAを同定することを目的とした.【対象と方法】食道アカラシア患者の中部食道粘膜より内視鏡下生検にて採取された29検体,対照として,健常人食道の同部位から食道粘膜を採取した.生検サンプルからRNAを抽出し,アカラシアの食道粘膜に特異的なmicroRNAの発現プロファイルを探索するために,microarrayに供した.健常人に比し特有の発現パターンを呈するRNAを選択し,リアルタイムRT-PCRにて定量的に解析した.アカラシア食道粘膜特異的microRNAの発現と,臨床的背景,罹病期間,生活歴,拡張型や拡張度等との相関性を調べた.【結果】食道アカラシア患者の男女比は14:15,年齢46歳・罹病期間60ヶ月(中央値),喫煙歴 有:無=13:15(不明1),拡張型Sp:F:S=11:12:6,拡張度I:II:III=7:22:0であった.Microarrayの結果,microRNA361-5pおよび130aがアカラシア患者において発現が高かった.これらのmicroRNAをRT-PCRにて定量解析を行ったところ,microRNA130aはアカラシア群がcontrol群よりも有意に発現が亢進していることが確認された.microRNA130a発現と罹病期間,拡張度の相関性は明らかでなかったが,紡錘型群とフラスコ型群の間にmicroRNA130a発現量の差異がみられた.microRNA130a発現量は,男性,非喫煙者群でも有意に発現が高かった.【結語】microRNA130aは,アカラシア患者の食道粘膜におけるbiomarkerとなり得る可能性が示唆された.POEM前後の発現量の変動に関しても解析を加えてみたい. |
索引用語 |