セッション情報 口演

GERD3,その他

タイトル O-077:

アカラシア患者に観察される“Esophageal Rosette”のバルーン拡張術後の変化

演者 星野 慎太朗(日本医科大学千葉北総病院消化器内科)
共同演者 岩切 勝彦(日本医科大学千葉北総病院消化器内科), 川見 典之(日本医科大学消化器内科学), 竹之内 菜菜(日本医科大学消化器内科学), 佐野 弘仁(日本医科大学消化器内科学), 田中 由理子(日本医科大学消化器内科学), 梅澤 まり子(日本医科大学消化器内科学), 星原 芳雄(日本医科大学消化器内科学), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学)
抄録 【背景】アカラシア患者では,健常者において深吸気時に観察される下部食道柵状血管の全体像は観察されずrosette-like esophageal foldsが観察されることを報告し,われわれはこの所見を“Esophageal Rosette”と呼び,アカラシアの特徴的内視鏡像であることを報告した.今回,アカラシアに対して,バルーン拡張術を施行し,著効を認め症状が消失した症例の深吸気時時の下部食道内視鏡像をバルーン拡張前後で比較検討し,“Esophageal Rosette”がアカラシアの特徴的内視鏡所見であるかを検討した.【方法】対象は,当科においてアカラシアと診断し食道バルーン拡張術にてつかえ感,口腔内逆流がほぼ完全に消失した著効例13例(男性5例,平均年齢55.8歳)である.バルーン拡張後の1年後の下部食道内視鏡所見を拡張前と比較検討した.【成績】拡張術前には,全例とも深吸気時に“Esophageal Rosette”が観察され,また下部食道柵状血管のほぼ全体像は観察可能できなかった.バルーン拡張術後には,全例とも深吸気時に“Esophageal Rosette”は観察されず,下部食道柵状血管のほぼ全体像の観察が可能となった(p<0.0001).また10例では柵状血管下端を含めた完全な全体像が観察できた.3例では軽症逆流性食道炎がみられた.【結論】アカラシア患者ではLES弛緩が得られないため,LESが収縮した状態が続き“Esophageal Rosette”が観察されると考えられるが,バルーン拡張術によりLESが破壊され,LES圧が低値になり症状が消失した症例では“Esophageal Rosette”は深吸気時に観察されず,通常観察される下部食道柵状血管がほぼ観察されるようになることから,“Esophageal Rosette”はやはりアカラシアの特徴的であると考えられた.
索引用語