セッション情報 口演

GERD3,その他

タイトル O-078:

食道好酸球浸潤の診断能に関する多施設共同前向き検討

演者 石村 典久(島根大学医学部第二内科)
共同演者 清村 志乃(島根大学医学部第二内科), 谷村 隆志(松江市立病院消化器内科), 結城 崇史(島根大学医学部第二内科), 三宅 達也(島根大学医学部第二内科), 串山 義則(松江赤十字病院消化器内科), 佐藤 秀一(島根大学医学部第二内科), 藤代 浩史(島根県立中央病院内視鏡科), 石原 俊治(島根大学医学部第二内科), 小松 泰介(出雲市民病院内科), 金藤 英二(大田市立病院消化器科), 泉 明夫(泉胃腸科医院), 石川 典由(島根大学医学部器官病理学), 丸山 理留敬(島根大学医学部器官病理学), 木下 芳一(島根大学医学部第二内科)
抄録 【目的】近年,本邦において好酸球性食道炎(EoE)の報告例が増加しているが,臨床的特徴は十分に評価されていない.今回,EoEの主要な病理所見である食道好酸球浸潤(EE)の診断の際に重要となる症状や内視鏡的所見を明らかにする目的で以下の検討を行った.
【方法】2011年8月から2012年8月までに関連12施設で施行された上部消化管内視鏡検査例を対象とした.嚥下困難などの食道関連症状がある症例および内視鏡的に縦走溝,リングなどの特徴的な所見を有する症例について生検を行い,上皮内浸潤好酸球数を測定しEEの診断に関連する症状および内視鏡的所見について解析を行った.
【結果】17324例の内視鏡施行例のうち,食道関連症状を有した319例(Group 1)および症状がなく内視鏡所見のみを認めた30例(Group2)を解析対象とした.Group 1のうち,内視鏡所見を伴った30例中7例(23.3%)がEEと診断されたが,内視鏡所見のない289例中にEEは1例のみ(0.35%)であった.またGroup 2のうち,4例(13.3%)にEEを認めた.全12例のEEのうち,11例でEoEを疑う内視鏡所見を認め,縦走溝が9例と最も頻度が高かった.EEの有病率は内視鏡検査施行例で0.07%,有症状者で2.5%であった.多変量解析では嚥下困難などの症状はいずれもEEとの有意な関連性は認められなかった.しかし,内視鏡所見について,縦走溝が有意にEEの診断に関連する項目として挙げられた(OR=41.6).
【結論】EEの診断に最も有用な内視鏡所見は縦走溝であることが示された.また,症状については有意な関連性が認められず,症状のみで内視鏡所見を伴わない場合,EEを認める頻度はかなり低い(0.35%)ことが明らかとなった.
索引用語