セッション情報 | 口演H.pylori感染症1 |
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タイトル | O-080:消化性潰瘍患者におけるHelicobacter pylori除菌前後の消化管ホルモンの変動についての検討 |
演者 | 笠井 智佳(三重県立総合医療センター消化器内科) |
共同演者 | 川崎 優也(三重県立総合医療センター消化器内科), 森谷 勲(三重県立総合医療センター消化器内科), 田中 淳一朗(三重県立総合医療センター消化器内科), 大矢 由美(三重県立総合医療センター消化器内科), 井上 英和(三重県立総合医療センター消化器内科), 高瀬 幸次郎(三重県立総合医療センター消化器内科), 為田 雅彦(三重大学医学部附属病院消化器・肝臓内科), 白木 克哉(三重大学医学部附属病院消化器・肝臓内科), 杉本 和史(三重大学医学部附属病院消化器・肝臓内科) |
抄録 | 【目的】Helicobacter pylori(Hp)陽性消化性潰瘍患者において,Hp除菌により潰瘍の再発が抑制されるため除菌治療が広く行われているが,近年Hp除菌により,一部の患者で体重が増加する事が報告されている.ピロリ菌除菌後の体重増加に関し,胃から分泌される成長ホルモン分泌促進因子の一つであるグレリンや,それと相反する作用も持つレプチンが関与している可能性が示唆されているが,詳細な検討はまだ十分なされていない.そこで,今回我々は胃十二指腸潰瘍患者のHp除菌前後の血漿活性型グレリン・非活性型グレリン・レプチン・アディポネクチンを測定し,これらの成績と除菌後の体重変化の関連性につき検討した.【方法】対象は除菌療法を施行したHp陽性消化性潰瘍患者43名(胃潰瘍23名,十二指腸潰瘍20名).除菌療法開始前の早朝空腹時に採血し,除菌終了12週目に便抗原法による除菌判定と同時に採血とした.34名は除菌成功し,9名では除菌失敗した.除菌成立群と非成立群でHp除菌前後の血漿活性型グレリン・非活性型グレリン・レプチン・アディポネクチンを測定し,これらの成績と除菌後の体重変化の関連性につき比較検討した.【成績】Hp除菌成立群では除菌前後でBMI・活性型グレリン・非活性型グレリンに有意差は認めなかったが,レプチン値は除菌前4.7±5.01ng/mlから除菌後6.22±6.25ng/mlと優位に上昇していた(P=0.039).なお,除菌非成立群では活性型グレリンは除菌前13.21±4.89fmol/mlから7.07±2.68fmol/mlへ低下(P=0.018),レプチンは除菌前4.15±4.03 ng/mlから6.51±6.37 ng/mlへ増加していた(P=0.05).【結論】Hp除菌により血清グレリン値,レプチン値は早期に変動し,これが除菌後の病態に影響を与えていることが示唆された.今後より長期にわたる解析が必要であると考えられた. |
索引用語 |