セッション情報 | 口演H.pylori感染症1 |
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タイトル | O-082:Helicobacter pylori除菌療法に影響を与える因子の検討 |
演者 | 谷村 隆志(松江市立病院消化器内科) |
共同演者 | 石飛 ひとみ(松江市立病院消化器内科), 上田 直樹(松江市立病院消化器内科), 加藤 順(松江市立病院消化器内科), 村脇 義之(松江市立病院消化器内科), 三浦 将彦(松江市立病院消化器内科), 河野 通盛(松江市立病院消化器内科), 吉村 禎二(松江市立病院消化器内科), 山田 稔(松江市立病院消化器内科) |
抄録 | 【背景】Helicobacter pylori(以下HPと略)一次除菌率は近年低下傾向にあり,その要因がCAM耐性菌増加であることが報告されている.しかし,薬剤感受性を検索した後に除菌療法を行うことは,患者ニーズと医療経済的側面から考えても臨床上難しい.CAM耐性菌増加以外にHP除菌療法に影響を与える要因を詳細に検討した報告は少ない.【目的】当院におけるHP一次除菌療法の現状を把握し,除菌に影響を与える因子を抽出する.【対象と方法】2012年に当院でHP感染に対して一次除菌療法を受けたすべての症例175例を対象に一次除菌率,副作用,除菌に影響を与える因子を調査した.【結果】HP一次除菌率は175例中149例(85.1%)で良好であった.副作用は18例(10.3%)で認め,主な副作用は除菌後GERD,下痢,腹痛,発疹であった.副作用により除菌治療を中止した症例はなかった.また副作用の有無,整腸剤の併用は除菌率へ影響を認めなかった.患者側因子としては,65歳以上の高齢者(p=0.032)と除菌の原疾患が胃潰瘍・瘢痕(p=0.004)である症例は除菌率が高く,また男性の症例も除菌率が高い傾向にあった(p=0.135).40歳以下の若年者の除菌率は低い傾向にあった(p=0.059).肥満/非肥満,喫煙,飲酒,胃萎縮の程度,十二指腸潰瘍・瘢痕や早期胃癌内視鏡治療後胃など除菌の原疾患は除菌率に影響を認めなかった.医療側因子として,CAMの投与量,PPIの種類,パック製剤投薬の有無はいずれもHP一次除菌に影響を認めなかった.各因子で多変量解析を行うと,HP除菌の原疾患が胃潰瘍・瘢痕であることが唯一有意な因子であった(オッズ比11.822,p=0.0047).【結語】当院におけるHP一次除菌率は良好で,安全に行えており,副作用により治療を中止した症例はなかった.一次除菌に影響を与える因子としては,40歳以下の若年者で除菌率が悪い傾向があり,65歳以上の高齢者,男性,胃潰瘍・瘢痕の症例では除菌率は良好であった. |
索引用語 |