セッション情報 |
口演
H.pylori感染症2
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タイトル |
O-087:H.pylori感染状態とメタボリック症候群との関連性
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演者 |
安田 貢(KKR高松病院健康医学センター) |
共同演者 |
小林 三善(KKR高松病院消化器内科), 前田 剛(KKR高松病院消化器内科), 大浦 杏子(KKR高松病院消化器内科), 森田 翼(KKR高松病院消化器内科) |
抄録 |
【背景】昨年「H.pylori(Hp)感染胃炎」の診断・除菌治療が保険診療となり,胃がん検診施設においても受診者に対するHp感染の情報提供が義務づけられたと言える.またHp除菌が推奨される一方で,Hp感染と動脈硬化の関係あるいは除菌治療と生活習慣病との関連が多くの研究者によって懸念されている.【目的】我々は作年度より人間ドック胃がん検診に加え,その基本項目に血清Hp抗体とpepsinogen(PG)を組み入れているが,今回Hp感染状態とメタボリック症候群関連項目との関連性について検討した.【方法】平成25年4月から8月の人間ドック受診者のうち,胃X線あるいは胃内視鏡検査と上記血清検査を実施した2,022名を対象とした(全体の97%).画像および血清検査からHp感染状態を,現感染,既感染,未感染に分類し,メタボリック症候群の各関連項目(腹囲,血圧,空腹時血糖,HbA1c,LDL,HDL,中性脂肪)との関係を調べた.また,オプション検査のtreadmill負荷心電図検査,頸動脈超音波検査についても検討した.【成績】対象者の平均年齢は50才で,男性1,376名,女性646名.Hp感染状態(現感染,既感染,未感染)の内訳は各々468例(23.1%),389例(19.3%),1,165例(57.6%)であった.各項目との関連性では,40歳台のHp既感染者の腹囲が未感染者より高値であったこと,60歳台のHp現感染者のLDLが未感染者より高値であったこと,60歳台のHp既感染者の負荷心電図検査結果が未感染者より正常が多かったこと等が認められた.頸動脈超音波検査では比較的高年者のHp現感染者,既感染者に動脈硬化が診断される傾向を認めた.【考察】施設検診では受診者のHp感染率が低いが,これはむしろ効率的な胃がんの一次・二次予防に繋がる.比較的若年のHp感染者では除菌の影響で一時的な腹囲増大を認めるが,適切な生活指導による是正が見込まれ,むしろ未感染者より健康増進に向かう可能性がある.すなわちHp除菌と生活習慣病発症との関連性は薄く,むしろ感染状態で放置した場合,長期的な動脈硬化促進が危惧される. |
索引用語 |
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