セッション情報 口演

臨床病態

タイトル O-089:

インフリキシマブ効果減弱クローン病症例における免疫調整薬の重要性―増量時の免疫調整薬アドオン療法(前向き試験)の成績も踏まえて

演者 加藤 真吾(埼玉医科大学総合医療センター消化器肝臓内科)
共同演者 可児 和仁(埼玉医科大学総合医療センター消化器肝臓内科), 屋嘉比 康治(埼玉医科大学総合医療センター消化器肝臓内科)
抄録 【目的】IFX寛解導入療法後の効果減弱の実態の調査およびIFX増量時の免疫調整薬(IM)併用前向き無作為割付比較試験の結果を報告する.【方法】2006年1月から2013年9月間IFX寛解導入療法を行ったCD患者53例につき,発症年齢,性別,病型および発症からIFX開始および開始から増量までの期間,IFX開始時のIM併用の有無につき検討.IFX増量時の免疫調整薬アドオン療法(前向き試験)(UMIN6232)は免疫調整剤未使用例で,IFX通常量投与にて活動期のCD病患者をIM併用群と非併用群に無作為割り付けし,24週以降は非併用群に対し,救済群としてIM併用可能とした.主評価項目:24週目の寛解導入率・副次的評価項目:24週のCDAIとした.【成績】IFX寛解導入CD患者53例の内訳は平均年齢26歳,男女比40対13,Kaplan-Meiyer. Longrank testによる非再燃率は7.3年で初回IM非併用例(n=48)vs併用例(n=5)=35% vs 75%(p=0.1)でIM併用例の方が高かった.IFX増量17例のうち,発症からIFX開始までの期間とIFX増量になるまでの関係は相関係数-0.61,p=0.02で負の相関が得られた.アドオン療法の結果ではIM併用群・非併用群各10例のうち,24週まで完遂した16例の24週の寛解導入率はIM併用群(n=8)vs非併用群(n=8)=100% vs 25%(P<0.01),24週のCDAIはIM併用群vs非併用群=73±37vs184±76(P=0.02)と寛解導入率・CDAIとも有意にIM併用群が良かった.また24週で寛解導入に至らない非併用群5例のうち3例にIMを併用したところ全例48週で寛解導入に至ったが,IM非併用2例では1例は寛解導入に至らなかった.【結論】発症から早期にIFX導入した方が寛解維持率が有意に高く,初回導入時にIMを併用した方が寛解維持率が高い傾向であった.IFX増量時もIMを併用する方が有意に良好な寛解導入が得られた.
索引用語