セッション情報 口演

臨床病態

タイトル O-092:

当院で経験したIgG4関連疾患36例

演者 加藤 まゆみ(さいたま市立病院消化器内科)
共同演者 辻 忠男(さいたま市立病院消化器内科), 柿本 年春(さいたま市立病院消化器内科), 桂 英之(さいたま市立病院消化器内科), 金田 浩之(さいたま市立病院消化器内科), 篠崎 博志(さいたま市立病院消化器内科), 水谷 友美(さいたま市立病院消化器内科), 三浦 邦治(さいたま市立病院消化器内科), 宮永 亮一(さいたま市立病院消化器内科), 松波 幸寿(さいたま市立病院消化器内科)
抄録 【目的】当院では過去13年間にIgG4関連疾患(IgG4RD)を36例経験したのでその臨床経過と治療を検討する.【対象】36例の内訳:1,自己免疫性膵炎(AIP)32例.2,IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)(AIP合併なし)2例.3,後腹膜線維症1例.【結果】1,AIP 32例:硬化性胆管炎(SC)合併21例,Mikulicz病合併1例,原因不明の急性腹症・DICで入院直後に死亡し,剖検にてmultifocal fibrosclerosisの病像を呈した症例1例.治療中肺腫瘍出現し同部位の生検でIgG4RDと診断した1例.膵石合併7例,貯留・仮性嚢胞合併5例である.経過観察可能例25例中24例にPSL治療を行った.維持療法を中止した2例でSC再燃したが再投与後の反応は良好であった.1例PSL治療中5年目に敗血症で死亡した.10年以上経過観察している症例は10例で2例は気管支喘息のためPSL継続投与中である.現在69-88歳,平均80.4歳で再燃はない.PSL治療を行わなかった1例(無症状で発見)は現在非代償期の肝硬変である.2,IgG4-SC(AIP合併なし):80歳男性.下部胆管の狭窄で発症.ステント挿入で自然軽快したが8年後に肝内胆管の狭窄が進行し胆管炎発症しPSL治療を開始した.77歳男性.S状結腸癌術後2年,全身リンパ節腫大出現.4年後顎下腺腫脹しMikulicz病と診断.さらに4年後肝機能異常出現し血中IgG4高値とERCの胆管像よりSCと診断された.PSL投与で胆管狭窄は改善し維持療法中である.3,後腹膜線維症:58歳女性 下肢のむくみで発症し水腎症を呈した症例.CT,MRIで左後腹膜と腹部大動脈周囲に軟部組織の増生を認め血清IgG4高値でありIgG4RDとしての後腹膜線維症と診断した.PSL投与で症状改善し維持療法中である.【結論】当院で経験したIgG4RD36例の臨床経過を検討した.ステロイド治療が有効で診断時に治療を開始した症例の長期予後は良好であった.癌との鑑別が常に問題となりこのような症例に遭遇した場合両者の鑑別を常に念頭におく必要があると考える.
索引用語