セッション情報 | 口演UC(潰瘍性大腸炎)基礎 |
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タイトル | O-096:顆粒球・単球吸着除去療法がtransforming growth factor-β産生に与える影響に関する基礎的考察 |
演者 | 西瀬 祥一(山形大学内科学第二講座) |
共同演者 | 阿部 靖彦(山形大学内科学第二講座), 野村 栄樹(山形大学内科学第二講座), 佐藤 剛司(山形大学内科学第二講座), 吉澤 和哉(山形大学内科学第二講座), 岩野 大輔(山形大学内科学第二講座), 八木 周(山形大学内科学第二講座), 上野 義之(山形大学内科学第二講座) |
抄録 | 【目的】血小板から高レベルに産生されるtransforming growth factor(TGF)-βは,免疫抑制性あるいは抗炎症性サイトカインとして古くから知られていたが,一方で近年になりinterleukin(IL)-6の存在下でナイーブT細胞のTh17への分化を誘導することが明らかになるなど,炎症性腸疾患(IBD)の病態に強く関与していると考えられている.IBDの治療法の一つである顆粒球・単球吸着除去療法(GMA)に関連して,吸着担体である酢酸セルロース(CA)ビーズに顆粒球・単球が吸着することで,IL-1 receptor antagonistやIL-10などの抗炎症性サイトカインのみならず,少量のIL-6が産生されることを我々は報告しているが,TGF-βに関しては未だ検討されていない.そこで本研究では,GMAがTGF-β産生に与える影響について,基礎的実験から考察することを目的とした.【方法】健常成人から採取した末梢血を,in vitroでCAビーズと1時間接触させた後,血漿TGF-β1濃度をELISA法で測定し接触前の値と比較した.また,接触前後での血中血小板数をflow cytometry法で測定した.【結果】TGF-β1濃度(ng/mL)は,CAビーズ接触前に比べ接触後で有意に低下した(3.1±5.7 vs 1.5±2.3,p<0.02).また,血小板数(×103/μL)もCAビーズへの吸着で有意に低下し(200.6±24.6 vs 111.0±15.0,p<0.01),その平均吸着率は44.0±5.7%であった.【結論】CAビーズとの接触により,血中でのTGF-β産生は有意に抑制されることが明らかとなった.その要因としては,CAビーズへの吸着により,TGF-βの主な産生細胞である血小板が血中で減少することが考えられた.すなわち,顆粒球・単球はCAビーズへの吸着により活性化されて様々なサイトカインの産生が増加するのに対し,血小板は逆に吸着されることで不活化され,その結果としてTGF-βの産生が抑制される可能性が示唆された. |
索引用語 |