セッション情報 口演

UC(潰瘍性大腸炎)1

タイトル O-099:

潰瘍性大腸炎に合併する癌,dysplasia症例に対する血清p53抗体価測定の意義

演者 池内 浩基(兵庫医科大学炎症性腸疾患センター)
共同演者 内野 基(兵庫医科大学炎症性腸疾患センター), 松岡 宏樹(兵庫医科大学炎症性腸疾患センター), 坂東 俊宏(兵庫医科大学炎症性腸疾患センター), 広瀬 慧(兵庫医科大学炎症性腸疾患センター), 平田 晃弘(兵庫医科大学炎症性腸疾患センター), 佐々木 寛文(兵庫医科大学炎症性腸疾患センター), 冨田 尚裕(兵庫医科大学下部消化管外科)
抄録 (目的)潰瘍性大腸炎(以下UC)に合併するcolitic cancer症例では免疫組織学的検討で,一般の大腸癌に比べて,高率にp53蛋白陽性で,この変化はdysplasiaの段階でも高率に認められると報告されている.血清p53抗体値の測定は免疫組織染色よりも簡便で,サーベイランスに用いることもできる.そこで,UC手術症例を対象に,colitic cancerおよびdysplasia症例における血清p53抗体値の測定の意義についてほかの腫瘍マーカーと比較検討した.(対象)2009年7月から2013年8月までに手術を行ったUC症例のうち,術前に腫瘍マーカー(CEA,Ca19-9,p53抗体値)の測定が可能であった278例を対象とした.(結果)1.切除標本に癌/dysplasiaを合併した症例(n=66)の腫瘍マーカー陽性率:CEA;7例(10.6%),CA19-9;6例(9.1%),p53;16例(24.2%)でCA19-9とp53抗体値の間に有意差を認めた.2.腫瘍マーカーの偽陽性率(n=212):CEA;39例(18.4%),CA19-9;14例(6.6%),p53;12例(5.7%)で,CEAはCA19-9およびp53抗体値よりも有意に偽陽性率が高かった.3.Dysplasiaのみの症例での陽性率の検討(n=19):CEA;0(0%),CA19-9;0(0%),p53;4例(21.1%)でp53抗体値の陽性率が高い傾向を認めた.4.発癌症例(n=47)のstage別の陽性率:stage 0 or 1の症例(n=23):CEA;13.0%,CA19-9;4,3%,p53;21.7%で有意差は認めなかったが,p53抗体値陽性の症例が最も高率であった.Stage 2以上の症例(n=24)でも有意差はなかった.(結語)血清p53抗体値の測定はサーベイランスでも,ほかの腫瘍マーカーよりも有用性が高いことが示唆された.
索引用語