セッション情報 口演

UC(潰瘍性大腸炎)1

タイトル O-100:

潰瘍性大腸炎患者におけるdysplasiaからの発癌の危険因子の検討

演者 米沢 麻利亜(東京女子医科大学消化器病センター消化器内科)
共同演者 飯塚 文瑛(東京女子医科大学消化器病センター消化器内科), 高橋 麻依(東京女子医科大学消化器病センター消化器内科), 伊藤 亜由美(東京女子医科大学消化器病センター消化器内科), 大森 鉄平(東京女子医科大学消化器病センター消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医科大学消化器病センター消化器内科)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)の長期経過例には,炎症を母地とした大腸癌が発生することは知られており,その前癌病変としてdysplasiaが注目されているが,dysplasiaの自然史については不明な点が多い.今回dysplasiaからの発癌の危険因子について検討した.【方法】当院において2005年7月から2012年5月の間にdysplasiaのUC-3が認められたUC20例を対象とした.症例の内訳は男性16例女性4例で,年齢は31~75歳(平均50.1歳),病型は全大腸炎型19例,左側大腸炎型1例であり,罹病期間は4~29年(平均15.4年)であった.UC-3を癌非発生群(A群14例)と癌発生群(B群6例)に群別化し,臨床像・内視鏡像の特徴を比較し,危険因子について検討した.【結果】臨床像は,若年発症(15歳以下)は両群共に認めず,長期罹患(10年以上)はA群9例/B群5例,左側大腸炎以上はA群14例/B群6例,重症発作歴はA群5例/B群1例,大腸癌家族歴はA群2例/B群0例,PSC合併は両群共に認めず,平均入院回数はA群1.8回/B群2.3回,PSL使用期間はA群6.8年/B群6.1年であり,入院回数が多い症例に発癌が多い傾向にあった.内視鏡像は,偽ポリポーシスはA群3例/B群4例,管腔の狭小化はA群0例/B群1例,Backwash ileitisはA群1例/B群1例,内視鏡的に炎症が持続例はA群11例/B群6例,UC-3多発例はA群9例/B群2例,周囲にdysplasia(UC-2b)が認められた例はA群5例/B群4例であり,偽ポリポーシス,管腔の狭小化を認める症例に発癌が多い傾向にあった.検出部位は両群共に直腸・S状結腸に多く,隆起型を有する症例の35.3%に大腸癌が発生した.【結論】入院回数が多く,偽ポリポーシス・管腔の狭小化を認める症例がdysplasiaからの発癌の危険因子と思われた.過剰手術を避けるため,UC-3検出後はこれらの危険因子をふまえ,手術適応を決定すべきと思われた.UC-3の自然史は未だに不明な点も多く,更なる検討が必要である.
索引用語