セッション情報 口演

UC(潰瘍性大腸炎)1

タイトル O-102:

高齢者(50歳以上)潰瘍性大腸炎手術例における術式選択

演者 長尾 宗紀(東北大学胃腸外科)
共同演者 羽根田 祥(東北大学胃腸外科), 田中 直樹(東北大学胃腸外科), 佐々木 宏之(東北大学胃腸外科), 大沼 忍(東北大学胃腸外科), 神山 篤史(東北大学胃腸外科), 工藤 克昌(東北大学胃腸外科), 阿部 友哉(東北大学胃腸外科), 武者 宏昭(東北大学胃腸外科), 森川 孝則(東北大学肝胆膵外科), 坂田 直昭(東北大学肝胆膵外科), 林 洋毅(東北大学肝胆膵外科), 岡田 恭穂(東北大学肝胆膵外科), 中川 圭(東北大学統合がん治療外科), 吉田 寛(東北大学肝胆膵外科), 元井 冬彦(東北大学肝胆膵外科), 内藤 剛(東北大学胃腸外科), 片寄 友(東北大学統合がん治療外科), 江川 新一(東北大学災害医療国際協力学), 海野 倫明(東北大学消化器外科学)
抄録 【背景と目的】潰瘍性大腸炎に対する標準術式とされている大腸全摘・回腸肛門吻合術は,高齢者においては術後合併症の頻度も高くその適応については一定の見解が得られていない.近年増加傾向にある高齢者での潰瘍性大腸炎手術症例に関し検討した.【対象と方法】1980年以降当科で経験した潰瘍性大腸炎の全手術症例404例のうち,50歳以上の手術症例105例(手術時平均年齢61.6歳)に関して検討した.【結果】対象症例の重症度は重症例が52例,中等症30例,軽症例が22例,劇症例が1例.病変部位は全大腸炎型が75例,左側大腸炎型が28例,直腸炎が2例.待期手術例が54例,緊急手術例が51例であった.手術適応は重症例が最も多く,他,穿孔,難治,癌・dysplasia合併,中毒性巨大結腸症などであった.癌合併は105例中20例に認めた.術式は全結腸直腸切除・回腸瘻造設術が36例,亜全結腸切除・回腸瘻造設術が13例,全結腸直腸切除・回腸肛門管吻合術が34例,全結腸直腸切除・回腸肛門吻合術が18例,回腸直腸吻合術が2例,その他が2例であった.高齢者にみられた術後合併症としては小腸穿孔,直腸断端穿孔,カリニ肺炎,肺化膿症,術後せん妄,サイトメガロウィルス感染,呼吸不全,敗血症等があり,中には重篤で再手術を要した症例もみられた.また,diverting ileostomy閉鎖後に排便機能低下による頻回の便失禁のため,回腸瘻を再造設した症例も認められた.【結論】高齢者においては合併症などの点から周術期管理および重症例での手術のタイミングには細心の注意が必要とされる.高齢者潰瘍性大腸炎においては合併症,肛門機能などを考慮し慎重に術式を選択する必要があると考えられた.
索引用語