セッション情報 口演

UC(潰瘍性大腸炎)2

タイトル O-107:

当院におけるクローン病に対するAdalimumabの治療成績

演者 松下 勝則(東北大学消化器病態学)
共同演者 志賀 永嗣(東北大学消化器病態学), 遠藤 克哉(東北大学消化器病態学), 小野寺 基之(東北大学消化器病態学), 日下 順(東北大学消化器病態学), 内藤 健夫(東北大学消化器病態学), 川上 瑤子(東北大学消化器病態学), 只野 敏浩(東北大学消化器病態学), 宮澤 輝子(東北大学消化器病態学), 下平 陽介(東北大学消化器病態学), 木内 喜孝(東北大学消化器病態学), 下瀬川 徹(東北大学消化器病態学)
抄録 【背景・目的】Adalimumab(ADA)の登場により,クローン病(CD)難治例に対する寛解導入およ維持療法の治療成績向上が期待されているが,本邦における報告は決して多くない.現時点ではInfliximab(IFX)が効果不十分の場合に使用されていることが多く,海外の治療成績と比較して劣る可能性がある.そこで,CDに対するADAの治療効果(改善率・寛解率,ステロイド減量効果)を検討することを目的とした.【方法】当院でADAが投与された難治性CD患者70例を対象とした.投与8週後と24週後のCDAI改善率(CDAIが70以上低下)および寛解率(CDAIが150以下)を検討した.【結果】対象の内訳は男性49例,女性21例,年齢15-65歳(中央値35歳),体重41-98kg(56kg),罹病期間0-36年(12年),小腸型8例・大腸型12例・小腸大腸型50例であった.52例で腸管切除の既往があり(20例で人工肛門あり),38例においてIFXの治療歴を有していた.プレドニゾロンを16例(22.5%),免疫調節剤を21例(29.5%)において併用していた.8週後のCDAI(中央値)は202から143まで低下し,改善率59.3%,寛解率40.6%であった.8週後のステロイド投与量は有意に減少し,CRP値とAlb値も有意に改善した.24週後のCDAI(中央値)は135であり,改善率57.1%,寛解率39.2%であった.8週後のIFX投与別にみた寛解率は,IFX投与歴ありの群では25.0%であったのに対して,IFX投与歴なしの群では66.6%であった.【考察】海外の治療成績と比較しても,当院でのADAの治療効果は高い結果であった.生物学的製剤の効果を高めるためには,複雑な合併症を併発する前に適切なタイミングで投与することが重要であるが,ADAに関しては増量や期間短縮が保険適応となることを強く期待する.
索引用語