セッション情報 |
口演
大腸癌 化学療法1
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タイトル |
O-110:高齢者の進行再発大腸癌に対する化学療法症例の検討
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演者 |
三口 真司(広島大学病院消化器・移植外科) |
共同演者 |
下村 学(広島大学病院消化器・移植外科), 檜井 孝夫(広島大学病院消化器・移植外科), 澤田 紘幸(広島大学病院消化器・移植外科), 新津 宏明(広島大学病院消化器・移植外科), 大段 秀樹(広島大学病院消化器・移植外科) |
抄録 |
【背景】人口の高齢化が社会問題であり,高齢大腸癌患者に対する治療方針が課題となっている.【対象と方法】進行再発大腸癌179例(2007-2012年,広島大学病院)を対象とし,75歳以上の高齢患者(n=34)に対する化学療法施行例の特徴,治療方針について考察した.【結果】一般成人(n=145)の初期治療は緩和3例,転移巣切除32例,化学療法110例であったのに対して,高齢者(n=34)では緩和9例,転移巣切除7例,化学療法18例であり,診断時に緩和治療となっている症例が多かった.化学療法を導入できた症例に限ると,化学療法開始後の生存期間中央値は一般成人:26.5ヶ月,高齢者:20.7ヶ月と有意差は認めなかった(P=0.48).総治療コースは高齢者で有意に少なかった(p=0.021).1次治療は,経口抗癌剤が高齢者9例(50%),一般成人11例(9%)であり,高齢者では経口剤が有意に多く選択されていた(P=0.0001).病勢制御率は一般成人64.8%,高齢者77.8%と同等であり(P=0.26),G3以上の有害事象の発生率は一般成人32.5%,高齢者33.3%と同等であった(P=0.96).1次治療のProgression free survival(PFS)は,一般成人9.8ヶ月,高齢者11か月と同等であった.なお高齢者の1次治療において経口抗癌剤(9例)と静注抗癌剤(9例)におけるPFSは経口:10.3ヶ月,静注:10.8ヶ月と有意差を認めなかった.G3以上の有害事象は,経口2例,静注4例と同程度であったが,抗癌剤のRelative Dose Intensityの中央値は経口100%,静注56.8%であり(P=0.038),静注抗癌剤は減量して副作用マネージメントを行って使用されていることが示唆された.【考察】高齢者では,全身状態や社会的事情により積極的な抗癌剤治療が行えない症例が多く存在する.S-1,Capecitabineなどの経口抗癌剤は高齢者大腸癌患者において忍容性が高く,病勢コントロールは一般成人と比較して同等であったことから,治療のオプションの一つとして有望である. |
索引用語 |
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