セッション情報 口演

大腸癌 化学療法1

タイトル O-111:

進行再発大腸癌化学療法例におけるbevacizumab併用によるbevacizumab関連有害事象発症リスク増加に関する検討

演者 永田 仁(獨協医科大学第2外科)
共同演者 高木 和俊(獨協医科大学第2外科), 石塚 満(獨協医科大学第2外科), 岩崎 喜実(獨協医科大学第2外科), 窪田 敬一(獨協医科大学第2外科)
抄録 【目的】bevacizumabの併用により進行再発大腸癌に対する化学療法は奏効率,奏効期間の改善とともに生存期間の延長が認められているが,出血,動静脈血栓塞栓症,消化管穿孔といったリスクが指摘されている.今回,大腸癌化学療法症例におけるbevacizumab関連といわれる出血,動静脈血栓塞栓症,消化管穿孔発症についてbevacizumab投与による発症リスクの増加を検討した.【方法】2006年12月から2013年9月までに当科で進行再発大腸癌症例に対してFOLFIRI,FOLFOXによる全身化学療法を行った200例のうち2次治療からbevacizumabを併用した12例を除いた188例について,bevacizumab関連有害事象のうち,出血,動静脈血栓塞栓症,消化管穿孔の発症についてbevacizumab投与例と非投与例で検討を加えた.【成績】bevacizumab投与例は139例(男性95例,女性44例),非投与例は49例(男性26例,女性23例)で化学療法開始時の年齢中央値はそれぞれ63(28~84)歳と69(43~87)歳であった.有害事象のうち出血は腫瘍から1例,胃潰瘍1例,十二指腸潰瘍2例,脳出血2例で脳出血1例のみが非投与例で他は投与例であった.動静脈血栓塞栓症は脳梗塞3例,肺塞栓症1例,上腸間膜静脈血栓症1例,消化管穿孔は3例でいずれも投与例であった.bevacizumab投与によるbevacizumab関連有害事象発症のリスクはハザード比3.734(95%信頼区間:0.487-28.614),p=0.2047と有意な因子とはいえなかった.また,bevacizumab投与例でのbevacizumab関連有害事象の累積発症率は投与開始1ヶ月で2.2%,3ヶ月で4.3%,6ヶ月で5.9%,1年で9.8%,2年で11.4%と発症時期に一定の傾向は認めなかった.【結論】進行再発大腸癌化学療法におけるbevacizumab併用は出血,動静脈血栓塞栓症,消化管穿孔のリスクを有意に増加させるとはいえなかった.
索引用語