セッション情報 口演

大腸癌 化学療法2

タイトル O-115:

大腸癌化学療法の治療選別における問題点

演者 浜本 康夫(慶應義塾大学病院腫瘍センター)
共同演者 高石 官均(慶應義塾大学病院腫瘍センター), 金井 隆典(慶應義塾大学医学部消化器内科)
抄録 【背景】大腸癌治療の多様化に伴い治療方針の決定には個々の病状に応じて適切に選別する必要がある.ESMOガイドラインでは治療に影響を及ぼす因子を利用し治療決定する試みを提唱している.しかしながら主観的因子を含んでいるため運用には問題点も多い.【目的】ESMOグループ分類の問題点を明らかにする.【方法】2011年7月より2012年9月までに当科を受診し化学療法を考慮した進行大腸癌をレトロスペクティブに解析.ESMO分類の各因子を3名の医師(YH,SF,YI)が独立して評価.【結果】症例は8例.年齢中央値61歳(41-78歳).性別は男性3例,女性5例.化学療法前のPS:PS1/PS2:7/1.原発部位:直腸6例,S状結腸1例,盲腸1例.臨床病期:再発1例,ステージIV7例.原発切除は7例に実施.k-ras野生型6例,変異型2例.Kohne risk分類はLow/Intermediate/High:1/3/4.GERCOR risk分類はLow/Intermediate/High:0/5/3.7例でmost active combination regimen(XELOX+BV 6例,FOLFIRI+BV 1例)が選択されていた.評価者別のグループ分類は消化器内科医(YH)でgroup1/2/3:13%/25%/63%,消化器内科医(SF)でgroup1/2/3:0%/87%/13%.消化器外科医(YI)でgroup1/2/3:38%/25%/38%.各因子の相違としてはPotentially resectable after chemotherapyで0%~38%,Symptoms present or imminent/Aggressive tumor dynamicsで25%~50%,Far advanced/bulky diseaseで25%~87%であった.【結語】ESMO分類による治療選別自体は主観的な要素が大きく評価者による相違が著しかった.腫瘍量の評価項目や手術の是非に関して格差もあるため客観的な要素(PS,WBC,ALP,LDHなど)を積極的に加味し多職種での協議の上での運用ならびに前向き試験による検証が必須と考える.
索引用語