セッション情報 口演

SB,CE,その他

タイトル O-120:

NSAIDs起因性小腸粘膜障害における緊急小腸内視鏡の有用性

演者 李 兆亮(宝塚市立病院消化器内科)
共同演者 柚木崎 紘司(宝塚市立病院消化器内科), 宮崎 純一(宝塚市立病院消化器内科)
抄録 【背景と目的】低用量アスピリン(LDA;low dose aspirin)を含めた広義のNSAIDsは,循環器領域や整形外科領域など様々な疾患に広く投与されている.今後VCEやBEなどの小腸内視鏡検査による診断,治療は益々重要性を増していくと考えられる.緊急小腸内視鏡の有用性について検討した.【対象と方法】当センターにて,2010年4月から2013年2月までにOGIBと考えられた193例中,NSAIDs常用患者56例(平均年齢74.8歳,男性26名,女性30名)について検討した.56名全員当科を受診してから48時間以内にVCEを施行した.56名についてのNSAIDs小腸粘膜障害における緊急VCEの有用性について検討した.【結果】NSAIDs起因性と考えられる小腸粘膜障害を認めた症例の有所見率は87.5%(49/56例)であった.その粘膜障害が出血の責任病変であると確定診断が可能であったのは43%(24/56例)であった.一方,出血タイプ別に診断率を比較したところ,顕性持続性出血例が57%(12/21例)となり,顕性既往出血例29%(5/16例)や潜在性出血34%(7/19例)と比べ高い診断率を得た.出血タイプ別の内視鏡所見を検討したところ,顕性出血例(持続性,既往性)では潜在性出血例と比べ,病変所見に加えて,血液が貯留している出血所見(出血,黒色腸液,凝血塊など)を伴う場合が多かった.【結論】NSAIDs小腸粘膜障害によるOGIB症例には小腸内視鏡が有用であるが,施行のタイミングが重要である.特に顕性出血を疑った場合にはできるだけ早期に施行すべきである.また,VCEとBEの特性を十分に理解し使い分け,常に放射線科や外科など他科と連携できる総合的な診断システム作りが必要である.
索引用語