セッション情報 口演

膵癌1

タイトル O-123:

切除可能膵癌に対する術前補助治療:化学療法か?化学放射線療法か?

演者 里井 壯平(関西医科大学外科学講座)
共同演者 柳本 泰明(関西医科大学外科学講座), 豊川 秀吉(関西医科大学外科学講座), 山本 智久(関西医科大学外科学講座), 廣岡 智(関西医科大学外科学講座), 山木 壮(関西医科大学外科学講座), 良田 大典(関西医科大学外科学講座), 井上 健太郎(関西医科大学外科学講座), 道浦 拓(関西医科大学外科学講座), 松井 陽一(関西医科大学外科学講座), 權 雅憲(関西医科大学外科学講座)
抄録 【目的】切除可能膵癌患者における,S-1併用術前化学放射線療法(NACRT)とGEM+S-1術前化学療法(NAC)後切除術の有効性および安全性を比較すること.【方法】切除企図膵癌162名の内,JPS T3/4患者で,治療前組織診断ならびに同意が得られた81名(NACRT n=43,NAC n=38)に術前治療を企図した.NACRT後切除35名とNAC後切除27名の背景因子や治療成績を比較検討した.NACRTはS-1 80mg/m2/日と1.8Gy/日の3D原体照射を計28日間行い(50.4Gy),NACはGEM1,000mg/m2(2投1休)+S-1 80mg/m2(2週投薬,1週休薬)を2コース施行した.NACRT群では全患者に半周性神経叢郭清を施行した.【結果】NAC群はNACRT群と比較して,有意にG3以上の有害事象発生率が高かったが(63% vs 29%,p=0.010),両群間で術前治療の完遂性(97% vs 89%),奏効率(17% vs 19%),Borderline resectable率(56% vs 51%)や切除率に差は無かった.門脈合併切除は両群共に約50%に施行され,手術時間はNAC群で有意に短縮していた(中央値391 vs 515分,p<0.001).NACRT群のR0率は高い傾向を認め(91% vs 82%),リンパ節転移陰性率(49% vs 22%)や50%以上の腫瘍細胞変性壊死率(29% vs 0%)は有意に高率であった(p<0.05).術後補助化学療法のrelative dose intensityはNAC群で高率な傾向を示した(中央値100% vs 38.5,p=0.060).両群間の術後合併症に有意な差は認められなかったが,NACRT群で難治性下痢や腹水の発生率が高い傾向を示した.【結語】NACRT施行患者で局所制御に優れているものの,術後合併症である下痢や腹水貯留のために術後補助化学療法の投与量は満足すべきものではない.GS-NACは血液毒性が多いが完遂性には問題無く,術後補助療法も十分な投与量を確保しえた.今後生存率を比較する必要があるが,術前治療内容は腫瘍の進行度に応じて使い分ける必要があると考えられた.
索引用語