セッション情報 口演

膵癌1

タイトル O-126:

局所進行膵癌に対するS-1+強度変調放射線治療(IMRT)の治療成績と臨床的意義

演者 渡邊 弘之(福井県済生会病院内科)
共同演者 熊井 達男(福井県済生会病院内科), 上田 晃之(福井県済生会病院内科), 松田 尚登(福井県済生会病院内科), 真田 拓(福井県済生会病院内科), 新 浩一(福井県済生会病院内科), 野ツ俣 和夫(福井県済生会病院内科), 登谷 大修(福井県済生会病院内科), 田中 延善(福井県済生会病院内科), 菊池 雄三(福井県済生会病院放射線治療センター), 宮山 士朗(福井県済生会病院放射線科), 須藤 嘉子(福井県済生会病院病理部)
抄録 【目的】2013年3月までの5年間で,当院の新規膵癌患者は159名である.切除不能進行膵癌におけるJEST試験でS-1のGEMに対する非劣性が証明され,JASPAC01で膵癌術後化学療法としてS-1がGEMより長期生存に寄与すると報告された.S-1成分のギメラルシルに放射線増感作用がみられるが,GEMは放射線感受性による血液毒性で,CRT時に減量する場合が多い.一方,IMRTは3次元的に腫瘍のみに放射線を集中できる回転式革新照射術で,合併症の軽減と高線量照射が可能であり,2011年9月からすべての局所固形がんで保険適応となった.我々は,局所進行膵癌患者に対するS-1+IMRTの治療効果と臨床的意義について検討した.【方法】対象は,2012年4月以降,病理で腺癌と診断され,遠隔転移のない切除不能の局所進行膵癌で,PS 0-2症例を対象とした.S-1は80mg/m2/dayで2週投与1週休薬を1クールとし,IMRTは原発巣と転移リンパ節などに60Gy/30f(週5日照射)を照射した.IMRT施行後はS-1内服を継続した.【結果】対象症例は,Naive 3例,化学療法後導入3例(男4例女2例,58~83歳・中央値68歳)であった.病変部位は,膵頭部2例,膵体部3例,膵体尾部1例.膵癌腫瘍径は,1.9cm~5.0 cm(中央値3.7cm).2例は外来でCRT治療を完遂した.治療前値に比して,CRT後にCA19-9値が1/4未満に低下したものは4/6(66.7%)(正常化2例を含む)であった.すべての症例で癌性疼痛の緩和がみられた.2例で,CRT後PR以上でPET-CTでは集積が消失した.SD3例,PD1例であった.膵頭部癌でCRT治療5か月後に閉塞性黄疸で再燃した1例は胆道EMS留置後,GEMに交替して経過観察中である.【結語】局所進行膵癌におけるS-1+IMRT治療は,副作用が軽微で高い局所治療効果が期待でき,すべての症例で癌性疼痛緩和に有用であった.
索引用語