セッション情報 口演

膵癌2

タイトル O-132:

腹膜播種を有する膵癌患者の予後の検討:単施設後ろ向き研究

演者 高田 良司(大阪府立成人病センター肝胆膵内科)
共同演者 井岡 達也(大阪府立成人病センター消化器検診科), 末吉 弘尚(大阪府立成人病センター肝胆膵内科), 石田 伸子(大阪府立成人病センター消化器検診科), 山井 琢陽(大阪府立成人病センター肝胆膵内科), 福武 伸康(大阪府立成人病センター肝胆膵内科), 蘆田 玲子(大阪府立成人病センター消化器検診科), 上原 宏之(大阪府立成人病センター肝胆膵内科), 片山 和宏(大阪府立成人病センター肝胆膵内科)
抄録 【目的】膵癌は予後不良の疾患であるが,中でも腹膜播種を有する膵癌患者の予後は極めて不良である.我々は,腹膜播種を有する膵癌患者に対して行われた1次化学療法別の予後を検討した.【方法】2002年から2012年までに当施設で行われた患者の中で,治療前のCTまたはUSで腹水もしくは腹膜播種結節を有する膵癌患者の予後を後ろ向きに検討した.年齢,性別,Performance Status(PS),原発巣の部位,腹膜播種以外の転移部位,腹膜播種の様式(腹水,結節),腫瘍マーカー,アルブミン値,CRP値をデータとして集積し,1次治療をGemcitabine単独療法(G),Gemcitabine+TS-1併用療法(GS),S-1単独療法に分類し,それぞれの1年生存率,progression free survival(PFS),overall survival(OS)を比較し検討した.【結果】診断時に腹膜播種を有する107人の膵癌患者の中で検討し,年齢中央値は65歳(35-78歳),男性が58%,PS 0-1が90%,頭部癌:体尾部癌:全体癌=33:73:1例,肝転移61例・遠隔リンパ節転移54例・肺転移24例・骨転移1例・卵巣転移1例,腹水少量:中等量以上:結節のみ=69:28:10例,mCA19-9値=1119(U/ml),mCEA=5.7(U/ml),mALB=3.8(g/dl),mCRP=0.6(mg/dl)であった.G群は54人,GS群は37人,S-1群は16人であった.1年生存率はG群,GS群,S-1群がそれぞれ20.3%,21.6%,43.7%であった.PFS中央値はそれぞれ106日,84日,87日であった.またOS中央値はそれぞれ196日,158日,199日であった.1年生存率においてS-1群はG群より良好な傾向にあった(P=0.06).【結論】今回の後ろ向き試験の結果から我々は診断時に腹膜播種を有する膵癌患者の1次治療としてはS-1単独療法が適している可能性があると考えるが,ランダム化比較試験による検証を行うことが今後,必要と考える.
索引用語