セッション情報 口演

膵癌 術後化学療法

タイトル O-135:

膵癌に対する術前・術後補助化学療法の効果

演者 中郡 聡夫(東海大学消化器外科)
共同演者 矢澤 直樹(東海大学消化器外科), 古川 大輔(東海大学消化器外科), 和泉 秀樹(東海大学消化器外科), 山田 美鈴(東海大学消化器外科), 増岡 義人(東海大学消化器外科), 小澤 壯治(東海大学消化器外科), 貞廣 荘太郎(東海大学消化器外科), 安田 聖栄(東海大学消化器外科), 小川 真実(東海大学消化器内科), 川口 義明(東海大学消化器内科), 峯 徹哉(東海大学消化器内科)
抄録 膵癌に対する術後補助療法にはエビデンスが確立しつつあるが,術前補助療法の安全性と有効性に関しては不明な点が多く,明確なエビデンスもない.今回は術前・術後化学療法の効果につき検討した.【対象と方法】術後補助化学療法:対象は2003年1月から2012年12月に当科で切除し術後の治療内容が確認できる膵癌190例.内訳はGEM67例,GS療法60例,S-1 20例,無治療41例.NAC:対象は2008年10月から2013年9月に当科でNACを施行した膵癌25例で切除可能膵癌14例+動脈浸潤Borderline resectable(BR)膵癌11例と化学療法によるDownstageで切除可能と判断した膵癌5例(BR膵癌2例を含む)の合計30例.内訳はGS療法28例,GEM1例,GEMでPD後GS療法に変更1例.【結果】術後補助化学療法群の5年生存率は,S-1群30%,GEM群25%,GS群20%で各群間に有意差を認めなかった.無治療群の5年生存率は19%で化学療法施行群よりも有意に不良であった.NAC後に切除可能であったのは18例(75%)で,R0切除率は83%,リンパ節転移は39%.切除不能因子は,肺転移出現1例,開腹時肝転移5例および腹膜転移1例である.NAC後腫瘍縮小(PR)を3例(12%)に認め,腫瘍増大(PD)を2例(8%)に認めたが共に切除可能であった.BR膵癌13例の切除率は83%,R0切除率は70%,リンパ節転移率は30%.Downstageにより切除可能と判断した5例の内訳は,腫瘍縮小(PR)2例,開腹時肝転移を生検で切除しその後肝転移が出現しないので切除が2例,大動脈周囲リンパ節転移の縮小1例であった.【考察と結論】術後補助化学療法施行群の生存率は無治療群よりも有意に良好であったが,S-1・GEM・GS療法間に差は認めなかった.GSによるNACの奏効率は12%と低いものの,R0切除率は比較的良好でリンパ節転移率も40%以下と低い傾向であった.化学療法によりBR膵癌の切除率,R0切除率ともに改善する傾向を認め,生存率の改善も期待される.
索引用語