セッション情報 口演

術後再建腸管におけるERCP

タイトル O-147:

シングルバルーン小腸内視鏡を用いたERCPおよび関連手技

演者 冨永 桂(石川県立中央病院消化器内科)
共同演者 中西 宏佳(石川県立中央病院消化器内科), 稲垣 聡子(石川県立中央病院消化器内科), 吉田 尚弘(石川県立中央病院消化器内科), 辻 重継(石川県立中央病院消化器内科), 竹村 健一(石川県立中央病院消化器内科), 山田 真也(石川県立中央病院消化器内科), 土山 寿志(石川県立中央病院消化器内科)
抄録 【目的】術後再建腸管例における胆膵疾患への内視鏡的アプローチは,挿入経路の長さや吻合部の屈曲,術後癒着のため,困難な場合が多い.近年,このような症例に対して小腸バルーン内視鏡が応用され,挿入率や処置成功率の向上が報告されている.シングルバルーン内視鏡(SBE)を用いたERCPおよび関連手技の成績について検討する.【方法】通常内視鏡では乳頭到達が困難であった,または困難と考えられたためSIF-Q260(Olympus社製)を用い,胆膵疾患への内視鏡的処置を行った2009年6月からの術後再建腸管例21症例.【結果】治療対象疾患は総胆管結石17例,肝内胆管結石3例,膵癌術後1例.再建法はRoux-en-Y法16例,胆管空腸吻合術4例,Child変法1例.乳頭到達率85.7%,胆管挿管率66.7%,処置成功率61.9%.うちPTCD併用ランデブー法を6例に用い,その乳頭到達率・胆管挿管率・処置成功率はともに83.3%であった.乳頭到達可能の18例中15例で,到達後にオーバーチューブ(OT)を残し,側孔作製後に,通常処置具が使用可能な有効長であるGIF-XQ260(Olympus社製)に入れ替えた.処置不成功5例の内訳は,2例が内視鏡入れ替え時のOT抜去,2例はOTの屈曲が強く上部用内視鏡の挿入困難,1例は内視鏡入れ替え可能だが肝内胆管区域枝への選択的挿管困難であった.入れ替えなしの3例はSBEのみで処置成功した.偶発症はマロリーワイズ症候群1例のみであった.【結論】SBEは術後再建腸管例での胆膵疾患処置を可能としたが,乳頭到達困難例を14.3%に認めた.把持力の弱いSBEではPTCD併用ランデブー法が有用かもしれない.内視鏡入れ替えを伴う処置不成功例も認め,SBEで使用可能な処置具開発や従来の処置具に対応可能なSBEの改良が望まれる.
索引用語