セッション情報 口演

腫瘍

タイトル O-148:

癌幹細胞制御におけるSonic Hedgehog signalingの役割

演者 東島 潤(徳島大学消化器・移植外科)
共同演者 島田 光生(徳島大学消化器・移植外科), 栗田 信浩(徳島大学消化器・移植外科), 佐藤 宏彦(徳島大学消化器・移植外科), 岩田 貴(徳島大学消化器・移植外科), 吉川 幸造(徳島大学消化器・移植外科), 近清 素也(徳島大学消化器・移植外科), 西 正暁(徳島大学消化器・移植外科), 柏原 秀也(徳島大学消化器・移植外科), 松本 規子(徳島大学消化器・移植外科)
抄録 【はじめに】癌幹細胞(CSC)は化学療法抵抗性であり,癌の再発の主原因の一つと考えられている.Sonic Hedgehog signaling(Shh)は腫瘍増殖に重要な役割を果たし,CSCとの関連が報告されている.一方,自己複製能を持たないnon-CSCはEpithelial Mesenchymal Transition(EMT)によりCSCに転化するとされている.今回ShhがEMT誘導,CSC転化に重要な役割を果たしているとの仮説を立て検討を行った.【対象・方法】ヒト大腸癌細胞株(HCT-116)を用い,Cancer sphereを作成,以下の検討を行った.検討1:Cancer sphere,cell lineにおけるStemness genes,Surface markers,Shh pathway,Tight Junction genes,EMT related genes発現をReal Time-PCRで測定,sphereとcelllineでの発現を比較検討した.検討2:Shh阻害剤であるCyclopamine(0,2,5μg)を用い,sphereにおける上記遺伝子,マーカーの変化をReal Time-PCRで比較検討した.【結果】検討1:Oct4とNanogがsphereで有意に高発現していた.CD44,EpCAMもsphereで有意に高発現していた.Shh,Ptch1,Gli1がsphereで有意に高発現していた.Occludin,claudin-4がsphereで有意に高発現していた.e-cadherin,VimentinがそれぞれCSCで有意に低,高発現していた.検討2:Cyclopamine添加によりsphereにおけるNanog,Oct-4,CD-44発現が有意に抑制された.occludin,Claudin-4も有意に抑制され,E-Cadherin,Vimentinはそれぞれ用量依存性に有意に増強,抑制された.【結語】Shhは癌幹細胞転化におけるEMT誘導に重要な役割を果たしている可能性があり,Shh阻害は癌幹細胞に対する新たな治療戦略の一つになる可能性が示唆された.
索引用語