セッション情報 口演

肝癌 基礎

タイトル O-154:

肝におけるLPS誘導性アポトーシス時のUnfolded-protein response(UPR)に関する検討

演者 姜 霞(千葉大学医学研究院消化器・腎臓内科学)
共同演者 神田 達郎(千葉大学医学研究院消化器・腎臓内科学), 呉 霜(千葉大学医学研究院消化器・腎臓内科学), 中本 晋吾(千葉大学医学研究院消化器・腎臓内科学), 宮村 達雄(千葉大学医学研究院消化器・腎臓内科学), 今関 文夫(千葉大学総合安全衛生管理機構), 横須賀 收(千葉大学医学研究院消化器・腎臓内科学)
抄録 【目的】ERストレスはUnfolded Protein Response(UPR)と呼ばれ,近年免疫システムの中でも注目されている.今回,Toll like receptor(TLR)シグナル伝達経路活性化時の肝癌細胞アポトーシスにおけるERストレス伝達経路の検討を行なったので報告する.【方法】(1)肝癌細胞株HepG2におけるTLRシグナル伝達経路のUPRに与える影響を検討するため,各種TLRリガンドで刺激後,細胞RNAを回収しRT-PCRでGRP78 mRNAを比較検討した.(2)またLPS誘導性アポトーシスの際にみられるERストレス関連分子の発現変化をmRNAレベルまたは蛋白レベルで検討した.(3)LPSの阻害薬Polymyxin B Sulfateを用いて,LPS誘導性アポトーシスに対して検討した.(4)アポトーシスの評価は,Apopercentage assay,PARP Cleavage等にて行い,GRP78強制発現時の影響を検討した.【結果】(1)TLR1/TLR2リガンド(Pam3CSK4.3HCL)またはTLR4リガンド(LPS)で刺激したHepG2ではGRP78 mRNAレベルの発現誘導が有意に障害されていた.(2)LPS刺激により,HepG2細胞ではアポトーシスが誘導され,Western blotting法でCleaved PARPの発現増強を確認した.(3)LPS刺激時にはERストレス関連分子GRP78,XBP-1,CHOP mRNAレベル発現の低下および,IRE1,XBP-1,CHOP,ATF6,ATF4,eIF2alpha蛋白の発現も低下し,UPR誘導が障害されていた.(4)Polymyxin B Sulfateの前処理により,LPS誘導性アポトーシスが抑えられた.(5)GRP78過剰発現により,LPS誘導性アポトーシスの抑制を確認した.【結論】肝癌細胞ではLPS誘導性アポトーシス時にUPRシグナル伝達経路の障害を認め,アポトーシスに影響を与えていることが確認された.肝細胞癌における肝自然免疫系とERストレスシグナル伝達経路の関連性が示唆された.
索引用語