セッション情報 口演

肝癌 基礎

タイトル O-155:

次世代シークエンサーによる肝発癌に関与するmiRNAの網羅的解析

演者 村上 善基(大阪市立大学肝胆膵内科)
共同演者 棚橋 俊仁(神戸薬科大学), 田口 善弘(中央大学理工学部), 豊田 秀徳(大垣市民病院消化器内科), 熊田 卓(大垣市民病院消化器内科), 榎本 大(大阪市立大学肝胆膵内科), 田守 昭博(大阪市立大学肝胆膵内科), 河田 則文(大阪市立大学肝胆膵内科)
抄録 【目的】マイクロRNA(miRNA)は生体反応,恒常性の維持に大きな役割を果たしており,その発現異常は疾患と深く関係している.網羅的なmiRNAの発現解析は主にmicroarrayを用いて行われているが,次世代シークエンサー(NGS)とmicroarrayのmiRNAの発現解析能力を肝細胞癌(HCC)について比較した.【方法】14例のHCCとその周辺非癌部6例よりtotal RNAを抽出しアダプター配列を付加したcDNAに変換し,Illumina社MiSeqを用い50塩基配列毎に解析を行った.NGSのデータはmiRdeep2を用いて解析した.同一検体をAgilent社のhuman microRNA microarray(Rel 14.0)を用いてデータ収集を行いその結果をGeneSpringにて解析を行った.【成績】NGSは平均220万リードを得,ヒト遺伝子の約57%をカバーした.10例のHCCにおけるNGSとmicroarrayの比較は以下のようになった.平均correlation logarithmic indexは0.613,subtraction of correlation logarithmic indexは0.587であった.NGSにおけるmiRNA発現解析の再現性は0.976と高い値を示した.非癌部における8種のmiRNAs(miR-10a-5p,miR-122-5p,miR-146b-5p,miR-148a-3p,miR-192-5p,miR-22-3p,miR-26a-5p,and miR-27b-3p)の発現は癌部より有意に発現が高かった.また非癌部における3種のmiRNAs(miR-10b-5p,miR-143-3p,miR-21-5p)の発現は癌部に比べ有意に低かった.NGSにおけるHCCの診断能はそれぞれaccuracy=90.0%,p-value=7.442E-04,AUC=0.92であった.さらにNGS解析では新たなmiRNA候補が検出された.【結論】microarray解析はversionが異なると互換性が取れなく,別の方法で結果を検証する必要があった.NGS解析は再現性が高く,microarray解析との相関も高く,経年的に解析した結果を比較することが可能であった.さらにNGS解析は新規miRNAの検出を行うことも可能であり,non coding RNA発現解析に有用であると考えられた.
索引用語