セッション情報 口演

肝癌

タイトル O-158:

肝細胞癌(HCC)診療における地方の診療所と遠方の専門施設の連携の試み

演者 後藤 亨(大森赤十字病院消化器内科)
共同演者 須藤 拓馬(大森赤十字病院消化器内科), 河野 直哉(大森赤十字病院消化器内科), 芦苅 圭一(大森赤十字病院消化器内科), 関 志帆子(大森赤十字病院消化器内科), 鶴田 晋介(大森赤十字病院消化器内科), 高橋 昭裕(大森赤十字病院消化器内科), 千葉 秀幸(大森赤十字病院消化器内科), 井田 智則(大森赤十字病院消化器内科), 諸橋 大樹(大森赤十字病院消化器内科), 川並 義也(富士フイルム健康管理センター内科), 横山 知子(富士フイルム健康管理センター内科), 志和 忠志(富士フイルム健康管理センター内科)
抄録 【目的】HCCは専門医によるきめ細かい経過観察が必要であるが,特に医療資源が乏しい地方では専門医が近隣に不在のため診療に苦慮している場合が多い.富士フイルム健康管理センター(以下同診療所)は,神奈川県西部に存在し,最も近い高次医療機関でも25km離れている,専門医が周囲に不在の企業の外来診療施設であるが,肝疾患患者も多数通院している.そこで約70km離れた東京の大田区に存在し専門医が在籍する大森赤十字病院(以下同病院)と連携をとり,診療を行っている.今回その治療成績を検討した.【方法】同診療所では,常勤医が肝疾患患者も通常の外来診療を行い,月1回出張している同病院の専門医が主にUSを施行しながら他の画像検査結果を確認し,必要に応じ同病院にて入院加療を行っている.今回75歳以下初発3cm3個以内のHCCを対象に,同診療所で診療した15例(男:女11:4,64±8歳)(診群)についてその背景予後を検討し,同病院のみで診療している140例(男:女97:43,63±8歳)(病群)と比較した.【成績】診群の原因はB型5例C型7例アルコール性1例不明2例で,初発時のstageは1が9例,2が6例であった.全てChild Aで,RFAで治療していた.経過中11例が再発したが,2cm以下で7例発見し,3cm超発見は1例のみであった.予後は死亡6例(肝癌死5例,肝不全死1例)で,他は全て通院中であった.病群との比較では,全生存率は,診群3年93%5年56%,病群3年87%5年77%,無再発生存率は,診群3年45%5年27%,病群3年52%5年43%,50%生存期間は診群108月,病群128月といずれも有意差はなく,診群でも病群と比し問題ない結果であった.【結論】地方においても専門医療機関ときちんと連携することによりHCCの診療は十分に可能であった.
索引用語