セッション情報 口演

肝癌

タイトル O-159:

肝予備能良好進行肝細胞癌の治療成績と長期生存例における後治療の意義

演者 福林 光太郎(熊本大学消化器内科学)
共同演者 田中 基彦(熊本大学消化器内科学), 泉 和寛(熊本大学消化器内科学), 藤江 里美(熊本大学消化器内科学), 川崎 剛(熊本大学消化器内科学), 吉丸 洋子(熊本大学消化器内科学), 渡邊 丈久(熊本大学消化器内科学), 瀬戸山 博子(熊本大学消化器内科学), 立山 雅邦(熊本大学消化器内科学), 佐々木 裕(熊本大学消化器内科学)
抄録 【目的】高度進行肝細胞癌(HCC)に対して本邦ではソラフェニブ(SFN),もしくは肝動注化学療法(HAIC)が広く行われている.当科での進行肝細胞癌に対するSFNとHAICの治療成績,また長期生存例について検討した.【方法】Child-Pugh AかつStageIII/IVの進行肝細胞癌に対し4週以上の治療継続可能であった133例(SFN74例,HAIC59例)を対象とした.治療効果は1ヵ月以降のModified RECISTにより判定した.生存期間(OS),寄与因子について統計学的に検討した.【結果】SFN治療の奏効率は13.5%(CR 2,PR 8,SD 43,PD 21例)HAICの奏効率は22.0%(CR 1,PR 12,SD 32,PD 14例)であった.OS中央値は,SFN12.6ヵ月,HAIC 11.3ヵ月で差はなかった.SFN,HAIC例を併せた133例の有意な予後因子は,腫瘍体積(>50%)(HR:1.94),肝内制御有り(HR:0.35),PIVKA-II(>1000mAU/ml)(HR:2.03),Hb(≦12.1g/dl)(HR:2.22)であった.24か月以上の生存が確認された15例の治療の内訳はSFN7例,HAIC8例,治療効果はCR 2,PR 5,SD 8例であった.全例で後治療が施行され,内訳は切除/RFA:3例,TACE:5例,HAIC:3例,SFN:3例,TS-1:1例であった.長期生存例の生存曲線は治療効果別では有意差なかった.切除/RFAが可能となったのは133例中3例であり,根治的治療達成率は2.3%であった.このうち2例は36ヵ月以上無再発生存中である.【結語】肝予備能良好進行肝細胞癌の長期生存例の解析では,生存期間は治療法,治療効果で差はなく,後治療が可能であるためその効果が予後に影響すると考えられた.つまり1st lineで奏効が得られない場合も,後治療により予後が改善する可能性が示唆された.ダウンステージが得られ,根治的治療が可能となれば,さらなる長期生存が期待できる.
索引用語