セッション情報 口演

肝癌

タイトル O-161:

80歳以上の高齢肝細胞癌(HCC)患者に対する治療の正当性

演者 佐藤 公紀(三井記念病院消化器内科)
共同演者 大木 隆正(三井記念病院消化器内科), 山田 友春(三井記念病院消化器内科), 山上 まり(三井記念病院消化器内科), 山本 康英(三井記念病院消化器内科), 小島 健太郎(三井記念病院消化器内科), 有住 俊彦(三井記念病院消化器内科), 関 道治(三井記念病院消化器内科), 戸田 信夫(三井記念病院消化器内科), 田川 一海(三井記念病院消化器内科)
抄録 【目的】高齢化社会に伴い高齢HCCに対する治療戦略が重要となってきている.今回,我々は80歳以上のHCC患者の臨床学的特徴と長期治療成績について検討した.【方法】1984年5月から2012年12月に当院で肝細胞癌と診断され治療を受けた974人を対象に初回治療時の年齢を80歳以上と80歳未満の2群に分け,患者背景,累積再発・全生存率を比較検討した.また,再発・全生存に寄与する因子を検討する為多変量解析も行った.再発率は根治的治療が施行された初回ラジオ波焼灼術(RFA)群のみ検討した.【結果】全体の平均観察期間は2.99年,高齢者群64例で非高齢者群910例であった.RFA群は全体で597例であり高齢者群が36例(56%)で非高齢者群が561例(61%)であった.高齢者群では有意に女性が多くHBV感染は少なかった.腫瘍径は高齢者群で有意に大きかった(29.5mm vs. 25mm,P=0.02).血清アルブミン(ALB),総ビリルビン(T-bil),ALT値は非高齢者群で有意に高く,血小板数(PLT)は高齢者群で有意に高かった.2群間において再発率・全生存率に有意差は認めなかった.多変量解析では全生存率に関連する因子として腫瘍径(HR:1.02,P=0.01),病変数(HR:1.02,P<0.01),ALB(HR:0.47,P<0.01),AST(HR:1.02,P<0.01),DCP(HR:1.00,P<0.01)が抽出された.また再発に関連する因子として腫瘍数(HR:1.08,P=0.01)とAFP(HR:1.01,P=0.03)が抽出された.いずれにおいても年齢は再発・全生存に寄与する因子として抽出されなかった.【結論】高齢HCCに対する治療は若年者と変わらない治療効果が期待出来る.超高齢者であってもHCCに対する治療を積極的に検討する事が重要であり予後延長に寄与するものと考えられた.
索引用語