セッション情報 口演

肝癌(動注,ソラフェニブ,放射線)

タイトル O-172:

進行肝細胞癌に対する集学的治療におけるソラフェニブ投与後の治療選択

演者 永井 英成(東邦大学医療センター大森病院消化器内科)
共同演者 荻野 悠(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 松井 太吾(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 松井 哲平(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 金山 政洋(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 籾山 浩一(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 渡邉 学(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 石井 耕司(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 五十嵐 良典(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 住野 泰清(東邦大学医療センター大森病院消化器内科)
抄録 【背景】進行肝細胞癌(aHCC)合併肝硬変症(LC)の集学的治療において,sorafenib(SF)投与後の治療選択をどうすべきかは,まだ検討の余地が残されている.【目的】aHCC合併LC症例に対する集学的治療におけるSF投与後の治療法に何を選択すべきかを,既存治療の肝動注化学療法(HAIC)と共に比較検討することで明らかにする.【対象】Child A/B,Stage IVのaHCC合併LC患者で,2000年2月から2008年8月までにHAICを導入した102症例(H群)と2009年6月から2013年7月までにSFを投与した78症例(S群)を対象とした.【方法】HAICはLow dose FPを5日間連続投与後2日間休薬4週間繰り返し施行.SFは200~800mg/body/dayを4週間以上服用し,その後もSF投与のみ(SF群)または後治療としてTACE(SF-T群)かHAIC(SF-H群)をSF投与と交互に施行.【成績】Child A/BはH群38/64例,S群52/26例.腫瘍進行度はstage III/IVA/IVBはH群20/60/22例,S群1/64/13例.Child Aかつstage IVAの検討では,SF群8,SF-T群22,SF-H群22,H群38例であった.生存期間中央値(MST)はそれぞれSF群229,SF-T群327,SF-H群430,H群498日であり,SF群に比しSF-H群は有意な生存期間の延長を認めたが,その他の群は延長傾向のみを示した.さらにVp3以上の脈管浸潤症例の検討では,H群26例(HVP群),SF投与後HAIC導入は16例(SVP群)であった.MSTはHVP群272,SVP群315日で,SVP群はHVP群に比し有意な生存期間の延長を認めた.奏功率ではHVP群は14.3%,SVP群はSF先行投与後6.7%であったが,HAIC終了後に50.0%へ改善した.【結語】aHCC合併LC症例に対する集学的治療において,SF投与後の治療法にHAICとの交互治療を選択した方が,Vp3以上の脈管浸潤を伴った症例を含めて生存期間の延長を期待できる可能性が示唆された.
索引用語