セッション情報 口演

肝癌(動注,ソラフェニブ,放射線)

タイトル O-175:

肝細胞癌門脈本幹腫瘍塞栓および下大静脈腫瘍塞栓に対する放射線併用動注化学療法の経験

演者 杉本 理恵(九州がんセンター消化器肝胆膵内科)
共同演者 田尻 博敬(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 荒武 良総(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 寺松 克人(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 大野 隆真(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 久野 晃聖(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 古川 正幸(九州がんセンター消化器肝胆膵内科)
抄録 【目的】門脈本幹腫瘍塞栓(VP4)は肝細胞癌症例における最大の予後不良因子である.又下大静脈腫瘍栓は循環不全を来たし予後を悪くする因子である.肝動注化学療法はその効果には限界があり分子標的薬も十分な効果を上げているとは言い難い.一方,放射線照射の腫瘍塞栓に対する有効性が報告されており今後の適応拡大が期待されている.今回我々は門脈本幹の腫瘍塞栓(VP4)もしくは下大静脈腫瘍栓を伴う肝細胞癌の治療成績の向上を目指して,放射線療法を併用した肝動注化学療法を行った症例についてその効果や副作用,生存期間を検討し,あわせて同時期に肝動注化学療法を単独で行った症例についても検討した.【症例】2005年から2012年に門脈本幹もしくは下大静脈が腫瘍塞栓にて閉塞したstageIVa肝細胞癌で肝動注化学療法及び腫瘍塞栓に対する放射線治療を行った12症例(VP;7例,VV;5例),及び肝動注化学療法のみを行った5症例【結果】生存期間中央値;併用群;215日(VP;201.5日,VV;395日),単独群;141日.有害事象;併用群;grade3の血小板減少1例,grade3の全身倦怠感1例,単独治療群;grade3の感染1例【結論】stageIVaの肝細胞癌は元来予後不良と言われているが,予備能が保たれており全身状態も良好な症例においては最長677日と比較的長期の生存を認める症例もあり,特に下大静脈に対する照射は多くの症例で生存期間の延長が認められている事より試みるべき治療法と考える.しかし,放射線治療を併用した群で重篤な有害事象が多い印象があり,その適応は慎重に判断する必要があると考える.
索引用語