セッション情報 口演

肝癌(動注,ソラフェニブ,放射線)

タイトル O-176:

肝細胞癌に対する肝動注化学療法の治療効果の腫瘍マーカーによる評価

演者 今村 潤(がん・感染症センター都立駒込病院肝臓内科)
共同演者 木村 公則(がん・感染症センター都立駒込病院肝臓内科), 佐伯 俊一(がん・感染症センター都立駒込病院肝臓内科), 林 星舟(がん・感染症センター都立駒込病院肝臓内科)
抄録 【背景】腫瘍が肝臓に限局する進行肝細胞癌に対して肝動注化学療法とネクサバールのいずれを選択すべきか議論がある.肝動注化学療法においては奏功例では比較的予後が良いことが報告されており,ネクサバールへの変更を検討するためにも奏功する可能性の判断が重要となる.【目的】腫瘍マーカーの推移から奏功するかどうかを早期に予測できるかどうかを調べた.【方法】2009年4月から2013年6月までに当科で肝動注化学療法を導入した肝細胞癌症例24例を対象とした.1クール目の治療前後でAFPとDCPが低下したかどうか,また2クール目の開始前に更なる低下(gap down:GD)が認められたかを調べ,その後の画像検査と比較した.【結果】全24例の平均年齢は65.8±9.2歳(男22例/女2例).背景肝はHBV 4例/HCV 10例/NBNC 10例で,肝機能はChild A 14例/Child B 10例であった.治療はインターフェロン併用5-FU 18例/Low-dose FP 6例であった.画像検査による治療効果判定の結果はCR 1例(4.2%)/PR 9例(38%)/SD 4例(17%)/PD 10例(42%)であった.治療前後でのAFP低下は8例(CR 1/PR 4/SD 0/PD 3),AFPのGDは8例(CR 1/PR 6/SD 0/P D1),治療前後でのDCP低下は15例(CR 0/PR 5/SD 3/PD 6),DCPのGDは8例(CR 1/PR 6/SD 0/PD 1)で認められた.AFPとDCPのいずれにおいても治療前後での腫瘍マーカー低下例には少なからず非奏功例が含まれていたが,治療後のGD例のほとんどは奏功例であった.奏功例で治療前後の腫瘍マーカー低下もGDも認めない例はなかった.【考察】肝動注化学療法においては1クール施行後の休薬期間中にも腫瘍マーカーが低下する例では高率に奏功する.そうでない例ではネクサバールへの変更も念頭に置きながら治療を進めるべきである.
索引用語