セッション情報 口演

肝移植

タイトル O-179:

生体肝移植後B型肝炎再活性化予防法に関する検討

演者 吉住 朋晴(九州大学消化器・総合外科)
共同演者 調 憲(九州大学消化器・総合外科), 池上 徹(九州大学消化器・総合外科), 二宮 瑞樹(九州大学消化器・総合外科), 山下 洋市(九州大学消化器・総合外科), 井口 友宏(九州大学消化器・総合外科), 副島 雄二(九州大学消化器・総合外科), 内山 秀昭(九州大学消化器・総合外科), 池田 哲夫(九州大学消化器・総合外科), 岡野 慎士(九州大学消化器・総合外科), 吉屋 匠平(九州大学消化器・総合外科), 中川原 英和(九州大学消化器・総合外科), 松本 佳大(九州大学消化器・総合外科), 木村 光一(九州大学消化器・総合外科), 別城 悠樹(九州大学消化器・総合外科), 今井 大祐(九州大学消化器・総合外科), 王 歓林(九州大学消化器・総合外科), 川中 博文(九州大学消化器・総合外科), 前原 喜彦(九州大学消化器・総合外科)
抄録 【はじめに】HBc抗体陽性者に対する抗癌剤/免疫抑制剤投与後のB型肝炎再活性化は,医療者側が対策を講じることで予防可能である.【目的】HBc抗体陽性ドナーから提供されたグラフトにて生体肝移植を受けたレシピエントのB型肝炎再活性化に対する我々の予防法の妥当性を検証する.【対象】成人間生体肝移植418例中,レシピエントHBs抗原陰性かつドナーHBc抗体陽性で移植後1年以上生存した35例.【方法】1.B型肝炎再活性化予防に術中から術後3日間HBIG点滴静注.手術翌日より核酸アナログ内服を行った.術後HBs抗体をモニターし,1年間は50IU/Lを目標にHBIGを追加投与した.術前HBs抗体陽性レシピエントではHBIGは投与しなかった.肝移植後レシピエントのB型肝炎再活性化率を解析した.2.肝移植後肝機能正常化した症例にHBVワクチン10μg毎月投与を行い,HBs抗体陽転化率を解析した.3.妊孕性のある33歳と24歳女性で,HBVワクチンブーストによるHBs抗体価上昇後に核酸アナログを中止した.【結果】1.投与中の核酸アナログは全て単剤でゼフィックス22例,バラクルード13例.B型肝炎再活性化(HBs抗原陽転化)は皆無(0%)であった.2.12例にHBVワクチン投与,8例(67%)でHBs抗体が陽転化した.陽転例ではHBs抗体価低下時にワクチンをブースト接種することで,全例で抗体価の再上昇が可能であった.3.2例ともにHBs抗体価1000IU/L以上が持続し,B型肝炎再活性化は認めず,妊娠/出産が可能であった.【まとめ】HBc抗体陽性ドナーからのグラフトを用いた肝移植において,核酸アナログの持続投与とHBIGの術後1年間の投与でB型肝炎再活性化は可能であった.またワクチン有効例では,繰り返し接種によるブーストでHBs抗体価を保つことが可能であり,核酸アナログの中止が可能であることが示唆された.
索引用語