セッション情報 口演

肝移植

タイトル O-181:

急性肝障害・急性肝不全における血清AFPの意義:生体肝移植ドナーとの比較

演者 柿坂 啓介(岩手医科大学内科学講座消化器内科肝臓分野)
共同演者 片岡 晃二郎(岩手医科大学内科学講座消化器内科肝臓分野), 小野寺 美緒(岩手医科大学内科学講座消化器内科肝臓分野), 舘道 芳徳(岩手医科大学内科学講座消化器内科肝臓分野), 及川 寛太(岩手医科大学内科学講座消化器内科肝臓分野), 滝川 康裕(岩手医科大学内科学講座消化器内科肝臓分野)
抄録 目的:生体肝移植ドナーなど部分肝切除後の健常人は術後速やかに回復する.一方,急性肝不全では肝の再生が不十分なため予後不良となる症例が存在する.近年,AFPを発現する肝幹/前駆細胞が傷害肝で動員されていることが報告されているが,これらが肝再生に果たす役割は未だ明らかではない.急性肝不全での肝幹/前駆細胞・成熟肝細胞の至適再生環境を明らかにすることは,本疾患の治療戦略構築に重要である.生体肝移植ドナーの術後早期の採血と急性肝不全患者の採血を比較し,肝幹/前駆細胞が発現しているAFPと予後の関係を明らかにすることを目的とした.対象・方法:2008年~2010年に施行された11人の生体肝移植ドナーの周術期採血と2003年~2013年に加療した76人の急性肝障害/急性肝不全患者を採血結果・臨床経過で比較した.結果:肝移植ドナーは術後3日(POD3)にPTは53%と最低値を示したが,POD7までに速やかに改善した.急性肝障害/急性肝不全患者の予後は11例が死亡,65例が生存し,死亡した11例は急性肝不全非昏睡型4例,急性肝不全昏睡型亜急性型7例であった.死亡例と生存例でAFPの最高値を比較すると117 ng/mL,206 ng/mLと上昇していたが,両群に統計学的有意差はなかった.PTの最低値とAFPの最高値を示した日を比較すると,PT最低値より前にAFP最高値が出現している症例は死亡例8例,生存例0例,PT最低値より後にAFP最高値が出現している症例は死亡例で3例,生存例65例であった.死亡例5例のPTとAFPの経時的変化をみるとPT低値は遷延しAFPは漸減した.結語:生体肝移植ドナー肝再生早期でAFPは上昇せず,速やかにALT・PTは回復した.急性肝障害/肝不全患者ではAFPが著しく上昇していたため,肝障害により肝幹/前駆細胞が動員されていたものと考えられた.PT低値の遷延など肝の機能的再生を遅延させる環境は成熟肝細胞の再生不全のみならずAFPを産生する肝幹/前駆細胞数の減少も引き起こしていた可能性が示唆された.
索引用語