セッション情報 口演

肝癌 外科

タイトル O-182:

完全腹腔鏡下系統的肝切除の工夫:術前3Dシミュレーションの有用性

演者 飯室 勇二(兵庫医科大学外科・肝胆膵外科)
共同演者 岡田 敏弘(兵庫医科大学外科・肝胆膵外科), 裴 正寛(兵庫医科大学外科・肝胆膵外科), 田中 肖吾(兵庫医科大学外科・肝胆膵外科), 近藤 祐一(兵庫医科大学外科・肝胆膵外科), 中村 育夫(兵庫医科大学外科・肝胆膵外科), 鈴村 和大(兵庫医科大学外科・肝胆膵外科), 麻野 泰包(兵庫医科大学外科・肝胆膵外科), 平野 公通(兵庫医科大学外科・肝胆膵外科), 藤元 治朗(兵庫医科大学外科・肝胆膵外科)
抄録 肝癌の内視鏡外科手術では,出血コントロールや系統的肝切除完遂ために,個々の症例における脈管走行形態・潅流領域の正確な術前把握が重要である.教室では術前3Dシミュレーションを利用した安全な鏡視下系統的肝切除術に取り組んでいる.【対象と方法】2011年12月から2013年10月までに,肝S1,3,4,5,6およびS2/3,6/7領域に存在する肝癌25例に対して,完全腹腔鏡下系統的肝切除術を施行した.術前造影CT画像から3Dシミュレーション画像を作成し,切除領域のグリソン枝・肝静脈枝の分岐形態および潅流領域を個々の症例で把握.腫瘍の存在部位により手術体位を工夫し,肝切除時のポートは,切除肝の摘出操作を考慮して原則臍縦切開を用い,ポート数の減少に努める.左側肝切除では門脈臍部,右側肝切除では胆嚢床から目的グリソン枝の先行剥離を行う.硬変肝では一部肝実質切離を先行させる必要がある.目的グリソン枝をテストクランプした時点の肝変色域が術前シミュレーションと一致することを確認後,肝実質切離を開始(時に目的グリソン枝は複数).肝実質切離は,BiClamp,LCSを主に使用しcrush & clamp法に準じた小範囲凝固/切開で進め,適宜CUSAを用いる.肝実質のみを切離し,グリソン枝/肝静脈枝は可及的にクリッピングすることで,出血・胆汁漏防止が可能である.肝静脈壁からの微小出血はソフト凝固電極などの使用により止血可能.切除肝組織は臍部切開創から体外に導出することで手術創の縮小を期待できる.【成績】手術時間:250±110(中央値231)分,出血量:118±175(中央値30)ml,在院日数:9±2(中央値9)日,これまでに明らかな合併症なし.【結語】体位,グリソン鞘処理法,肝切離法の工夫とともに,術前3Dシミュレーションによる脈管走行形態・潅流領域の正確な把握により,安全な鏡視下系統肝切除が可能となる.
索引用語