セッション情報 |
口演
肝癌 外科
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タイトル |
O-186:術前neutrophil to lymphocyte ratio(NLR)を用いた初発肝細胞癌術後の予後予測能についての検討
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演者 |
石塚 満(獨協医科大学第二外科) |
共同演者 |
北 順二(獨協医科大学第二外科), 下田 貢(獨協医科大学第二外科), 加藤 正人(獨協医科大学第二外科), 森 昭三(獨協医科大学第二外科), 窪田 敬一(獨協医科大学第二外科) |
抄録 |
【背景】近年全身炎症反応性マーカーが種々の癌腫において,予後予測に有用であることが示されてきた.【目的】初発肝細胞癌(pHCC;primary hepatocellular carcinoma)に対し,neutrophil to lymphocyte ratio(NLR)の予後予測能について検討した.【対象,方法】2000年4月から2012年3月までの間に,当科にて手術を施行し,pHCCの診断と根治手術が病理学的に確認された418症例を用いて後ろ向きの検討を行った.予後(OS;overall survival)との関連はCox比例ハザードモデルを用いた単,多変量解析を用いて行い,生存解析はKaplan-Meier法にて生存曲線を描き,Log rank testで検定を行った.臨床背景因子のcut-off値は全てReceiver operating characteristic(ROC)curve解析で設定した.【結果】17の臨床背景因子の中から単変量解析にて予後との関連を認めた9因子を用いて多変量解析を行ったところ,NLR(≦2.05/>2.05)(HR,1.707;95% C.I., 1.294-2.252;P=0.040)は,年齢(≦65/>65),腫瘍個数(≧2/1),腫瘍最大径(≦3.8/>3.8,cm),aspartate aminotransferase(AST)(≦32/>32,IU/L),α-Fetoprotein(AFP)(≦17/>17,ng/ml),組織型(well,moderately/others)と同様に予後との関連を認めた.また術前NLR>2.05群はOS(P<0.001),cancer specific survival(P<0.001),relapse free survival(P=0.026)いずれにおいてもNLR<2.05群に比べ予後不良であった.【考察】血球系炎症反応性マーカーであるNLRは蛋白系炎症反応性マーカーと異なり硬変肝を母体とするpHCCにおいても蛋白合成の影響を受けにくいため,他の癌腫同様予後予測に有用であると考えられた.【結語】術前NLR高値(>2.05)は根治術が施行されたpHCCの予後を予測するうえで重要な因子であった. |
索引用語 |
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