セッション情報 口演

胃機能2

タイトル O-192:

GERD診療における新しい質問票GERD-TESTの有用性―改定F-スケールとの比較検討

演者 一志 公夫(一志胃腸科クリニック)
共同演者 中田 浩二(東京慈恵会医科大学消化管外科)
抄録 GERDは日常診療においてしばしば遭遇する疾患であり,その診療において症状の重さ,生活への影響や薬剤治療効果の評価は重要である.GERD診療に汎用されている改訂F-スケールでは,従来の12項目にFD-EPS症状2項目を加え,FD診療にも対応できるようになったが,生活への影響や包括的な治療効果をみる項目は含まれていない.GERD-TESTはGERD研究会Study委員会が策定した新しい質問票であり,GERD/FDの典型症状5項目に加えて生活への不満度4項目と薬物治療効果3項目が含まれているのが特徴である.【目的】GERD症状を主訴に来院した患者に行ったGERD-TESTと改訂Fスケールによる質問票の統計学的解析を行い,GERD-TESTの有用性について検討した.【方法】PPI治療前16名(男女比9:7,平均年齢48.6歳),治療前後ペア12名(男女比5:7,平均年齢51.3歳)のそれぞれの質問票を解析対象とした.F-スケールはGERD症状7項目合計点,FD症状7項目合計点,全症状14項目合計点について,GERD-TESTではGERD症状2項目平均点,FD症状3項目調整平均点および生活への不満度(食事,睡眠,身体活動,気分)について,治療前スコアの相関と治療後変化量(Δ)の相関について解析した.【結果】それぞれの質問票のGERD/FD症状スコア間あるいはPPI治療前後におけるGERD/FD症状Δの間にも有意な相関が認められた.また食事,睡眠,身体活動,気分への不満度とGERD/FD症状間には,多くの項目で有意な相関があった.また各症状と生活への不満度との相関の強さはGERD≒FD(または<FD)症状であった.PPI治療により症状スコアと生活への不満度の全項目において有意な改善がみられた.また症状Δと生活への不満度Δの間には,多くの項目で有意な相関が認められた.【結論】GERD-TESTは,より少ない項目でGERD/FD症状の重さ,生活への影響や治療効果の評価可能であり,GERD診療における有効なツールになりうると考えられた.
索引用語