セッション情報 口演

胃機能2

タイトル O-196:

脳梗塞患者の胃機能―胃電図による検討―

演者 杵川 文彦(さぬき市民病院内科)
共同演者 松田 和也(松田内科医院内科), 木田 裕子(さぬき市民病院内科), 中尾 克之(さぬき市民病院内科), 井上 利彦(さぬき市民病院内科), 正木 勉(香川大学消化器・神経内科)
抄録 【目的】神経疾患においては自律神経障害に起因する胃機能障害を合併すると推測されるが,客観的に検討した報告は少ない.今回は脳梗塞患者において胃電図を記録し,重症例と軽症例に分けて比較検討したので報告する.【方法】対象は脳梗塞患者39例(男21例,女18例,60~95歳).症例を脳幹梗塞(A群,16例,男11例,女5例,64~91歳)と脳幹以外の梗塞(B群,23例,男10例,女13例,60~94歳))に分けた.National Institute of Health Stroke Scale(NIHSS)を用いて脳梗塞の重症度を評価し,10点以上を重症例,9点以下を軽症例とした.ニプロ社製EGを用いて胃電図を記録した.空腹期30分におけるbradygastria(2.4cpm未満),normogastria(2.4-3.6cpm),tachygastria(3.6cpm以上)の発生頻度と振幅,パワーが最も大きい周波数(DF)について解析し,A群とB群において重症例と軽症例で比較した.胃電図の記録は発症から7日以内に行い,同日にNIHSSの評価も行った.【成績】i)A群:重症例は6例,軽症例は10例であった.normogastriaの発生頻度は重症例71.7±10.6%,軽症例93.7±4.0%で,重症例は軽症例と比較して有意に低下していた(p=0.0344).bradygastriaの発生頻度は重症例25.7±10.9%,軽症例6.3±4.0%,tachygastriaの発生頻度は重症例2.8±1.4%,軽症例0.0±0.0%で,重症例は軽症例と比較してnormogastria以外の発生頻度が多い傾向を認めた.振幅については両群間で有意差を認めなかった.ii)B群:重症例は9例,軽症例は14例であった.normogastriaの発生頻度は重症例86.0±6.2%,軽症例82.8±4.2%,bradygastriaの発生頻度は重症例12.9±6.3%,軽症例15.1±4.0%,tachygastriaの発生頻度は重症例1.1±1.1%,軽症例2.1±0.8%で,重症例と軽症例との間に有意差を認めなかった.振幅については両群間で有意差を認めなかった.【結論】重症の脳幹梗塞患者では胃機能が低下しており,Pace makerのリズムが障害されていると考えられた.
索引用語