セッション情報 | 口演消化性潰瘍 |
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タイトル | O-197:東日本大震災における福島県の消化性潰瘍 |
演者 | 高住 美香(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学講座) |
共同演者 | 引地 拓人(福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部), 佐藤 匡記(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 江尻 豊(福島労災病院消化器科), 石幡 良一(大原綜合病院胃腸科), 入澤 篤志(福島県立医科大学会津医療センター消化器内科), 高橋 裕太(公立相馬総合病院消化器内科), 齋藤 広信(福島赤十字病院消化器科), 高木 忠之(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 渡辺 晃(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 中村 純(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 杉本 充(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 菊地 眸(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 紺野 直紀(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 藁谷 雄一(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 小原 勝敏(福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部), 大平 弘正(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学講座) |
抄録 | 【目的】2011年3月11日に発生した東日本大震災において,福島県民には地震,津波の被害に加えて原発事故という精神的ストレスも加わった.今回,震災前後の福島県の消化性潰瘍の実態を明らかにすることを目的に検討した.【方法】東日本大震災後2か月間の福島県内6施設における消化性潰瘍患者を,1年前と1年後の同期間とArea別に比較検討した.Areaは福島第一原子力発電所からの距離に応じ,近い順に2施設をArea1(太平洋沿岸),3施設をArea2(同約40 km),1施設をArea3(同約100 km)と定義した.【結果】上部消化管内視鏡検査数および消化性潰瘍症例数は,前年と比較して2011年に減少,2012年に増加しいずれのAreaでも同様の傾向であった.胃潰瘍/十二指腸潰瘍比,年齢,男女比は各年でAreaに関わらず差がなかった.消化性潰瘍に占める出血症状の割合は2010年(38.1%)と2012年(32.0%)に比べて2011年で有意に高率であり(51.9%),特にArea 1で高率であった(63.6%).2011年の出血症状は震災後1か月間までが64.1%で,1か月以降40.5%よりも高率であった(P=0.033).潰瘍の要因として,H.pylori感染,NSAIDs内服,抗血栓薬内服,H.pylori感染陰性かつNSAIDs・抗血栓薬内服なしの4群に分け時期別に比較したが差は認められなかった.また,発症時の住居が自宅以外であったのは2011年は28.4%,2012年は15.5%であった.【結論】東日本大震災後,福島県の消化性潰瘍患者が増加しなかったのは,放射線問題での多数の県外避難のためと思われた.また,出血症状が震災後早期(特にArea 1)で高率であったのは,急激な精神的ストレスが影響していると思われた. |
索引用語 |