セッション情報 | 口演消化性潰瘍 |
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タイトル | O-198:低用量アスピリン関連出血性胃十二指腸潰瘍に対するPPI併用投与による出血予防 |
演者 | 石川 茂直(香川県立中央病院消化器内科) |
共同演者 | 稲葉 知己(香川県立中央病院消化器内科), 河合 公三(香川県立中央病院消化器内科), 和唐 正樹(香川県立中央病院消化器内科), 水川 翔(香川県立中央病院消化器内科), 榊原 一郎(香川県立中央病院消化器内科), 泉川 孝一(香川県立中央病院消化器内科), 田岡 伸朗(香川県立中央病院消化器内科) |
抄録 | 【背景と目的】当院では,消化器内科より全診療科に対し,出血性胃十二指腸潰瘍予防目的としてPPIの併用投与を推奨しており,過去12年間の低用量アスピリン(LDA)関連出血性潰瘍(NSAIDs併用者は除外)の推移を評価した. 【対象と方法】対象は,2000年から2012年に,当院にて緊急内視鏡止血処置を施行した(当院処方と他院処方を含む)出血性胃十二指腸潰瘍患者456例(68.3±14.8歳,男性/女性:335/121例,胃347例,十二指腸109例).LDA潰瘍関して,当院処方か他院処方および処方診療科を解析し,更に当院での抗血栓薬とPPIの併用状況を検討した. 【成績】出血例は,2000年-2006年(前期)は229例(32.7件/年)で2007年-2012年(後期)は227件(37.8件/年)と差はなく,LDA潰瘍は76例で前期の17.0%,後期の21.1%を占め差は認めず(p=0.26351),これら出血例に3日以上のPPI併用例はなかった. LDA潰瘍で,当院処方例は前期61.5%,後期18.8%と後期で減少(p=0.00006),処方科別では,当院は循環器が30.3%,脳外科36.4%に対し,他院は循環器67.4%,脳外科23.3%と当院は循環器の割合が少なかった(p=0.00132).当院処方例のみでは,循環器は前期58.3%(7/12)後期は11.1%(3/27)と循環器処方患者は減少していた(p=0.00393). 当院での抗血栓薬とPPIの併用状況評価に関しては,後期6年間のLDA処方患者全体のPPIの併用率は17.0%,23.0%,27.4%,29.9%,31.3%,48.3%と増加していた.さらに,同期間のLDA以外の抗血小板薬や抗凝固薬とPPIの併用率もそれぞれ47.2%と42.8%まで上昇しており,殊に,LDAと他の抗血小板剤の併用患者のPPI併用率は88.8%に至っていた. 【結論】当院では,循環器を中心として抗血栓療法患者,特に低用量アスピリン投与患者に対するPPIによる出血予防が行われており出血性胃十二指腸潰瘍患者は減少している.今後は他院処方と他診療科への対策が必要である. |
索引用語 |