セッション情報 口演

消化性潰瘍

タイトル O-199:

当院における薬剤起因性出血性潰瘍の現状

演者 山田 雅彦(安城更生病院消化器内科)
共同演者 東堀 諒(安城更生病院消化器内科), 三浦 眞之佑(安城更生病院消化器内科), 脇田 重徳(安城更生病院消化器内科), 鶴留 一誠(安城更生病院消化器内科), 岡田 昭久(安城更生病院消化器内科), 馬渕 龍彦(安城更生病院消化器内科), 竹内 真実子(安城更生病院消化器内科), 細井 努(安城更生病院消化器内科)
抄録 【目的N】NSAIDsは抗炎症,解熱鎮痛,血小板凝集抑制作用等の様々な効能を有しており,人口の高齢化に伴って,より幅広い領域でより多くの患者に使用されている.しかし,近年副作用である消化管障害が重要な問題となってきている.今回われわれはNSAIDsに起因する出血性潰瘍の臨床的特徴を検討したので報告する.【対象と方法】2002年4月からの10年間に内視鏡的止血術を行った胃十二指腸潰瘍848例をNSAIDs内服群と非内服群に分類し,その臨床像について比較検討した(消化管悪性腫瘍合併例は除外).【結果】(1)NSAIDs内服群は計333例(39.3%),男女比219:114,平均年齢70.0歳,胃・十二指腸潰瘍比257:76で,非内服群は各々515例(60.7%),390:125,61.1歳,378:137であった.内服群は非内服群に比し,高齢であり,女性の比率が高かった.胃十二指腸潰瘍比は両群間で差を認めなかった.内服群では65才以上の高齢者が245例(73.6%)を占めた.(2)HP感染率は非内服群70.9%に対して内服群38.0%と低率であった.(3)年次推移をみるとNSAIDs内服群は毎年約40%を占め,10年間ほぼ不変であった.内服群において,NSAIDsの内訳は低用量アスピリンが150例と最も多く,次いでロキソプロフェン114例であり,処方科は整形外科142例と最多で,次いで循環器内科/心臓外科94例であった.複数NSAIDs内服は47例(14.1%)であった.胃粘膜保護剤が処方されていたのが134例(40.2%)あったが,H2Bは42例(12.6%),PPIは14例(4.5%)に過ぎなかった.出血性潰瘍再発は6例で,全例NSAIDs継続・抗潰瘍薬コンプライアンス不良であった.【結語】出血性潰瘍の約40%にNSAIDsが関与しており,その頻度はここ10年間減少していなかった.薬剤起因性潰瘍に関する啓蒙を一般に広く進めること,並びに他の医療機関,診療科との連携をさらに緊密にする必要があると考えられる.
索引用語