セッション情報 口演

胃腫瘍-基礎

タイトル O-202:

胃癌組織におけるREG蛋白の血管内皮細胞に対する作用について

演者 原 謙(兵庫医科大学内科学上部消化管科)
共同演者 福井 広一(兵庫医科大学内科学上部消化管科), Sun Chao(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 神谷 紀子(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 山崎 尊久(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 近藤 隆(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 池原 久朝(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 富田 寿彦(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 大島 忠之(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 渡 二郎(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 三輪 洋人(兵庫医科大学内科学上部消化管科)
抄録 【背景・目的】我々はこれまで,組織再生関連因子であるRegenerating gene(REG)蛋白が胃癌細胞の増殖を促進し,腫瘍の発育・進展を促進することを報告している.周知のとおり,腫瘍の発育・進展には血管内皮細胞を含む間質細胞が重要な役割を果たしているが,REG蛋白の癌関連間質細胞に対する作用は明らかでない.そこで本研究では,血管内皮細胞に対するREG蛋白の細胞増殖作用と抗アポトーシス作用について検討した.【方法】ヒト血管内皮細胞HUVECにREG受容体遺伝子(exostoses like-3EXTL3)が発現していることを確認後(RT-PCR),HUVEC細胞をリコンビナントREG蛋白(0-10nM)で刺激し,その細胞増殖作用をWST-1 assayで評価した.また,HUVEC細胞にserum starvationでアポトーシスを誘導し,REG蛋白(0-10nM)を加えてその抗アポトーシス効果をFACS法で評価した.さらにはHUVEC細胞をREG蛋白で刺激した後で蛋白を抽出し,活性化している細胞内シグナル伝達物質をwestern blot法で検討した.【結果】REG蛋白刺激によりHUVEC細胞内でAktのリン酸化が亢進することを確認した.REG蛋白刺激(1-10nM)によりHUVEC細胞の増殖作用が促進した.Serum starvationにより,annexin V陽性アポトーシス細胞数が増加したが,REG蛋白刺激によりその反応は抑制された.さらに免疫組織学的検討では,REG陽性胃癌でCD34陽性の血管内皮細胞の増生を認めた.【結論】REG蛋白は胃癌組織において血管内皮細胞に対し増殖作用と抗アポトーシス作用を示し,腫瘍の発育と進展に関与する可能性が示唆された.
索引用語