セッション情報 口演

胃腫瘍-基礎

タイトル O-203:

胃癌微小環境におけるFGF9の胃癌細胞に対する作用について

演者 Sun Chao(兵庫医科大学内科学上部消化管科)
共同演者 福井 広一(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 原 謙(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 神谷 紀子(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 山崎 尊久(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 近藤 隆(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 池原 久朝(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 富田 寿彦(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 大島 忠之(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 渡 二郎(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 三輪 洋人(兵庫医科大学内科学上部消化管科)
抄録 【背景・目的】腫瘍の浸潤・進展にはその間質との相互作用が重要な役割を果たしている.我々は胃癌組織の間質から線維芽細胞(Cancer-associated fibroblast)を抽出し,マイクロアレイ解析でFGF9を強発現していることを確認した.そこで本研究では,FGF9の胃癌細胞に対する浸潤促進作用を検討した.【方法】進行胃癌組織およびその非腫瘍性胃粘膜部位よりそれぞれ線維芽細胞を抽出して初代培養し,それぞれのRNAを用いて遺伝子発現の差異をマイクロアレイで解析した.7種類の胃癌細胞株をRT-PCR法でスクリーニングし,FGF9の受容体であるFGFR2cとFGFR3bを発現するAGSおよびMKN28細胞を以下の実験に用いた.1.胃癌細胞を用量依存的にFGF9で刺激し,その浸潤能をBioCoat Matrigel invasion chamberで評価した.2. AGS細胞にserum starvationでアポトーシスを誘導し,リコンビナントFGF9を加えてその抗アポトーシス効果をFACS法で評価した.3.胃癌細胞をFGF9で刺激し,リン酸化ERKおよびリン酸化Aktの発現変化をwestern blotで検討した.【結果】マイクロアレイ解析では,非腫瘍性胃粘膜に比べ癌組織の線維芽細胞でFGF9が発現増強することが示された.In vitro実験では,1.FGF9刺激が用量依存的(1-10 ng/ml)に胃癌細胞浸潤を促進させた.2.Serum starvationにより,annexin V陽性アポトーシス細胞数が増加したが,FGF9蛋白刺激によりその反応は抑制された.3.FGF9蛋白刺激によりAGS細胞内でAktのリン酸化が亢進することを確認した.【結論】FGF9はCancer-associated fibroblastより産生され,胃癌細胞の浸潤能と抗アポトーシス能を亢進させることが示唆された.
索引用語