セッション情報 口演

胃腫瘍-臨床-1(外科)

タイトル O-210:

同時性腹膜転移陽性胃癌に対する胃切除術の意義

演者 齊藤 博昭(鳥取大学病態制御外科)
共同演者 宮谷 幸造(鳥取大学病態制御外科), 高屋 誠吾(鳥取大学病態制御外科), 松永 知之(鳥取大学病態制御外科), 福本 陽二(鳥取大学病態制御外科), 尾崎 知博(鳥取大学病態制御外科), 若月 俊郎(鳥取大学病態制御外科), 池口 正英(鳥取大学病態制御外科)
抄録 【目的】同時性腹膜転移を有する胃癌症例は一律にステージIVに分類され,その予後は極めて不良であり,出血や狭窄などの症状がなければ胃切除の対象とはならないことが多い.一方で腹膜転移にも程度があり,それらを一律に扱うのが妥当かどうかに関しては現時点では不明である.また,このような症例に対して胃切除を施行する意義も明らかではない.そこで今回,同時性腹膜転移陽性胃癌に対する胃切除術の意義を予後の観点から検討した.【方法】1975年から2005年の間に教室で同時性腹膜転移陽性症例に対して胃切除を施行した135例を対象とした.腹膜転移の亜分類は胃癌取扱い規約12版にしたがった.【成績】1.P1 43例,P2 56例,P3 36例に対して胃切除が施行された.2.根治手術はP1 25例(58.1%),P2 4例(7.1%),P3 0例(0%)に施行された.3.5生率およびMSTはP1 14% 11ヶ月,P2 0% 8ヶ月,P3 2.8% 6ヶ月であった.P1症例の予後はP2(p=0.0003)およびP3(p<0.0001)症例に比較して有意に良好であった.4.多変量解析ではP1症例の独立した予後因子は肉眼型(4型vs 4型以外)と根治度であった.P2およびP3症例では独立した予後因子は認められなかった.5.独立した予後因子であった肉眼型と根治度をもとに予後を解析すると根治手術が施行された4型以外の症例の5年生存率およびMSTは40% 29ヶ月であり根治手術が施行された4型(10% 11ヶ月)および根治手術が施行されなかった症例(0% 8ヶ月)と比較して有意に予後良好であった.【結論】P1症例は4型以外で根治手術が施行されれば長期予後が望めることから,このような症例に対しては積極的に手術するべきと考えられた.一方でこれ以外の腹膜転移陽性症例の予後は極めて不良であることから,症状がなければ現時点では胃切除の対象とはならないと考えられた.
索引用語