セッション情報 | 口演胃腫瘍-臨床-2(内科) |
---|---|
タイトル | O-212:HER2陽性胃癌患者に対するテーラーメイド治療の現状 |
演者 | 堀田 洋介(富山県立中央病院内科(消化器)DELIMITER富山県立中央病院外来化学療法科) |
共同演者 | 原 泰将(富山県立中央病院内科(消化器)), 在原 文教(富山県立中央病院内科(消化器)), 松田 耕一郎(富山県立中央病院内科(消化器)), 松田 充(富山県立中央病院内科(消化器)), 酒井 明人(富山県立中央病院内科(消化器)), 野田 八嗣(富山県立中央病院内科(消化器)) |
抄録 | 【背景】HER2陽性胃癌患者に対し,一次化学療法としてFPもしくはXP療法にtrastuzumab(以下Tmab)を併用して行う治療の有効性が国際共同第3相試験であるToGa試験において証明され,現在標準治療として位置づけられている. 【目的】当院における胃癌患者のHER2発現状況とHER2にターゲットを絞った治療の現状を調査し,実臨床における臨床的意義を検討すると共に,HER2陽性胃癌におけるAFP産生能の有無を検討する事で新たなバイオマーカーの可能性について模索する. 【方法】2011年3月から2013年3月までの期間.当院においてHER2発現とAFP産生が検討された胃癌患者265症例について,患者背景,治療経過,予後について調査した. 【結果】265例の内訳は,男性/女性=182/83,年齢中央値69歳(19-92),検体採取法:生検/手術=33/232,組織型:分化型/低or未分化型/その他=139/120/6,stage I/II/III/IV=106/48/55/56であった.全265例中,HER2陽性例は51例でHER2陽性率は19.2%であった.再発もしくはstageIVの79例中HER2陽性例は19例(24.1%)であった.そのうちTmabを用いた治療が行われたのは9例であった.HER2陽性胃癌患者51例中,AFP産生が確認された患者は6例(11.8%)であり,HER2陰性患者214例中のAFP陽性患者8例(3.7%)と比較し有意に多かった(p=0.033).AFP陽性患者はstageの進行した患者に多く見られ(I/III/IV=2/3/9),全体としてはAFP陽性患者の生存期間が有意に短い結果であったが(p=0.032),stageIV患者に限局すると生存期間に影響を与えていなかった. 【考察&まとめ】胃癌においてのテーラーメイド治療は,まだ一部の患者のみが対象であり,今後更なる発展が必要であると考えられた.また,HER2陽性胃癌患者のなかでAFP産生を有する者が有意に多いことからAFPがHER2陽性患者の治療経過の有用なバイオマーカーの一つとなりうる可能性が示唆された. |
索引用語 |